オーバーウォッチ 2

トレーサーのコミック:ヤッホー!アーティスト登場

トレーサーのコミック:ヤッホー!アーティスト登場

「Zap!」「Pow!」「Bang!」「Pew Pew!」 コミックで、戦闘などの緊張感あふれるシーンにこうした効果音が使われているのを、ご覧になったことはあるはずです。これらの効果音がスプレーやステッカーとなって、最新のトレーサー用エピック・スキン「コミック」のガントレットに使用されています。このスキンは「オーバーウォッチ」のテーマやスタイルにおけるコミックの影響を称えたものです。

ですがトレーサー用スキン「コミック」は、単にユニークなアートスタイルを確立するためのディテールというわけではありません。このスキンは「オーバーウォッチ」のコンセプトアーティストと、「オーバーウォッチ」の最新コミックである「 トレーサーの“ロンドン・コーリング”」を支える才能あふれるチームの共同作業から生まれたものです。

「オーバーウォッチ」の最新スキンの制作過程、コミックに対する愛、そして自身にとってのトレーサーの意味について、アーノルド・ツァンにインタビューしました。


コンセプトアートとゲーム業界に興味を持ったきっかけは?

高校生の頃にコミック業界に関わり始めて、大学で古典アニメーションを学びました。大学卒業時に、自分がどちらの道に進みたいのか分からなかったんですが、先に卒業した友人がゲームのコンセプトアートに携わるチャンスを紹介してくれました。そこで挑戦してみて、それ以来、後ろを振り返ったことはありません。

高校でコミックに関わり始めたとのことですが、具体的には?

トロント出身なので、今ではファン・エキスポとして知られるトロント・コミコンに、友達と一緒によく行っていました。ある年、みんなで一緒に取り組んだコミックを持ってイベントに参加して、それを見せて回りました。地元のスタジオ、Dreamwave Productionsのコーナーにブースがあって、私たちが作ったものを気に入ってくれてインターンとして仕事をもらえることになったんです。そうしてコミック業界への足掛かりを得ました。

コミック業界からゲーム業界への転向はどのようなものでしたか?

おかしな話なんですが、当時のコミック業界の多くのアーティストが、最終的にゲーム業界へと移っているように思います。当時一緒に仕事をしていた仲間の多くは、今は様々なゲームスタジオで働いています。その頃はコミックへの世間の関心が低下していて、反対に、ゲーム業界は上り調子だったんです。特にアートは、ゲーム関係の仕事のほうが需要があったんです。

アートへの移行という点では、学ばないといけないことがたくさんありました。きれいな絵を描くイラストレーターになることと、ゲームに役立つアイデアやデザインを考えるコンセプトアーティストになることは違います。コミックアートとゲームアートの間における変化はもっと大きなものです。一方は一連の絵によってストーリーを伝えるのに対して、もう一方は1つのデザインでストーリーの全てを表現しなければなりませんからね。

自身のアートスタイルに大きな影響を与えたコミックはありますか?お気に入りのものがあれば教えてください。

コミックは、アーティストとしての私の成長において欠かすことのできない要素になっています。90年代のブームの少し後に、アメリカンコミックに興味を持ちました。 「アンキャニィ X-Men」のジョー・マデュレイラの連載の大ファンでした。ジョーのアートが「漫画風」スタイルへの扉を開き、大きなインスピレーションの源となりました。漫画と言えば、「ONE PIECE」は私の大好きな日本のコミックで、いまだに毎週読み続けている唯一の作品です。尾田栄一郎さんはユニークなキャラクターの造形を生み出す名人で、いつもそれを学ぼうと頑張っています。

コミックアートのスタイルをトレーサーのモデルに落とし込んだプロセスを教えてください。

何よりもまず、コミックのエッセンスを表現したいと考えました。コミック調の効果音と共に、トレーサーのレギンスにコミックのコマを貼り付ける発想が頭の中にパっと思い浮かんだんです。コミックに対する愛情を表現する上で、スキンにそのままトレーサーのコミックを描いたらきっとカッコよくなるはずだと思いました。

それを念頭に制作に取り掛かって、コミックのコマのレギンスに合うようにトレーサーの外見の色を決めました。そこからさらに、今回のコミックのアーティストであるバブス・ターに加わってもらいました。最初のバージョンを送ると、彼女はそのアイデアにとても興奮して、様々な題材やジャケットパターン、そして具体的なヘアスタイルとメイクアップまで提案してくれました。それから彼女の2Dの絵を、可能な限りトレーサーの3Dモデルに合うものに置き換えました。また、当初のデザインでは吹き出しをトレーサーのジャケットに入れる予定でしたが、それをガントレットに付けてはどうかと提案され、 なんて素晴らしいアイデアだと思ってそのまま採用しました。

今回のスキンにおけるバブスとの共同作業はどんな感じでしたか?

バブス・ターは才能溢れるアーティストです。ずっと彼女と一緒に仕事がしたいと思っていましたし、今回のコミックでようやくそのチャンスが巡ってきて嬉しいです。彼女のアイデア、彼女がブラッシュアップした初期コンセプト、そして彼女の芸術的センス(特にその色使い)から得たインスピレーションを表現するのに全力を尽くしました。個人的に、バブス・ターがピンクやとても鮮やかなサイケデリックな色を多用するのが本当に好きで、その特徴をスキンにも反映して、彼女のスタイルをデザインでも表現できるよう努めました。

このスキンのお気に入りのディテールはありますか?

効果音の吹き出しです。同じ効果音をスプレーにして、これまでにない試みとしてスプレーにも音声を付けました。つまり「Bang!」とスプレーすると、彼女が「バン!」と言うわけです。すごいでしょう?また、そのアートを7つの言語に、そして効果音を13の言語にローカライズすることができました。

スキンを考え出すにあたって最もクリエイティブな部分は何ですか?

作っているスキンのタイプによります。通常は2つのタイプに分かれます。エピックとレジェンダリーです。レジェンダリー・スキンは「スキン」という言葉を聞いて思いつくイメージ、すなわちキャラクターの全体的な衣装の変更になります。エピック・スキンは色の変更に近いですが、ユニークなものになるように、できるだけたくさんのアイデアを詰め込むように努力しています。レジェンダリー・スキンに取り組む際は、“フック”のことばかり考えます。つまりテーマが何なのか、そのテーマをビジュアル的に表せるものをピンポイントで絞り込み、それをキャラクターのモデルに落とし込みます。

今回はトレーサーのスキンはエピック・スキンでしたが、エピック・スキンの場合はキャラクターの基本的な形状の範囲を逸脱してはいけないので少し厄介です。ですが制限があるということは、よりクリエイティブにならざるを得ないのです。テクスチャと色はどうするのか、どんな図案やデカールを採用するのか?時にはスキンのヘアスタイルやヘッドギアなど、形状の一部を変更することもあります。今回のスキンは、コミックを視覚的なモチーフとして採用し、外見上のフックにすることができました。

トレーサーは元々、「Project Titan」用に設計されたクラスをベースにしたキャラクターですが、「オーバーウォッチ」への移行はどのように行われたのでしょうか?

「Titan」に登場するキャラはヒーローという立ち位置ではなく、どちらかというとクラスやジョブ寄りの存在でした。なのでトレーサーも今のトレーサーとは異なります。「ジャンパー」というクラスで、性別も選べて、スキルや武器にも選択の余地がありました。「オーバーウォッチ」では、クラスではなくヒーローを作るように意識的に取り組んでいます。このゲームのコンセプトを売り込むのは、私たちにとって大きな転換点となりました。単に異なるクラスの操作キャラクターを制作するのとはわけが違います。バックストーリー、性格、そして奥行きのある本物のヒーローを生み出したんです。「ジャンパー」のゲームプレイやキャラクターとしてのポテンシャルは元から気に入っていましたが、彼女の名前を思いついて、固有のストーリーを作り出す過程で、「オーバーウォッチ」のクリエイティブな方向性が花開いたんです。それ以来、私たちはトレーサーに負けないくらい奥行きとストーリーを持ったヒーローを作り続けたいと、今なお思い続けています。彼女はそうした下地を作ったヒーローの1人です。

キャラクターとして、あなたにとってのトレーサーはどういった意味を持っていますか?

トレーサーはゲームの看板娘のような立ち位置で受け取られているかもしれませんが、彼女は単にカバーやポスターに使われるだけのキャラクターではありません。「オーバーウォッチ」の価値、その世界観を、そして本作の開発チームさえをも内包したキャラクターなんです。彼女がもたらす希望に満ちた楽観、そのスタイル、そのキャラクターのあらゆる要素が、このゲームの独自性を確立する上で非常に役立ちました。

「Project Titan」のアイデアを基に、それをトレーサーに変える…その変革が起きた時、まさにこのプロジェクトに命が吹き込まれたのです。彼女は私たちの最初のキャラクターで、常に特別であり続けるでしょう。彼女の誕生が、チームにとっても重要なターニングポイントだったからです。初めてゲーム内で彼女を見た時は、本当に言葉になりませんでした。本当の意味でこのゲームが生まれたのは、その時です。


9月29日までの期間中に、 パルス・ピストルの引き金を引き、自らの道を切り開きましょう。 マッチに勝利し、Twitchで「オーバーウォッチ」を視聴して、トレーサー用スキン「コミック」や固有の効果音が付いた6つのスプレーをはじめとした新たな報酬を手に入れましょう。 「オーバーウォッチの最新コミック 「トレーサーの“ロンドン・コーリング”」第1話のリリースをお祝いしましょう!

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