ハースストーン

開発者の洞察: クラスのアイデンティティー、栄誉の殿堂、新クラシックカード

開発者の洞察: クラスのアイデンティティー、栄誉の殿堂、新クラシックカード

「ハースストーン」が拡張を続け、酒場に足を運ぶ常連客が増えていくにつれ、ゲームの土台がしっかりしているか確認するために過去のデザインを顧みることが、ますます重要になっていきます。過去5年間の進化と成長の過程で我々は、「ハースストーン」の各クラスを個性的にしているものについて、そしてプレイヤーが各クラスをプレイする時にどんなユニークな体験をできるべきかについて、多くを学んできました。次のアップデートを控えた今、この機会を借りて、我々の現在のクラスのアイデンティティーの哲学について解説し、各クラスの展望についての我々の考えを皆さんと共有したいと思います。

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クラスのアイデンティティーの構築

クラスのアイデンティティーを定義する際、我々は3つのガイドラインを遵守することに主眼を置きました。その3つのガイドラインとは、クラスの「ファンタジー」を保持すること、クラスが得意であるべきことを定義すること、そしてクラスが苦手とすることを定義することです。

各クラスのファンタジーに目を向ける時、我々はゲームプレイを通じてクラスのエモーションが感じられるようにしたいと思っています。それは例えば、ウォリアーなら真正面から戦闘に突撃すること、メイジなら凄まじい魔法の呪文を駆使すること、ローグなら完璧な流れで一連の技をくり出していくこと、などです。何がクラスを「らしく」するかを理解していれば、どんなカードがそのファンタジーにフィットし、強調できるかを、より正しく判断できるのです。

より強固なクラスのアイデンティティーを構築することには、いくつかの目的があります。各クラスに、より明確に定義された性質を与えることで、我々は新しいメカニクスをより自由に作れるようになります。各クラスの弱点を把握していれば、新しいパワーをかなり極端なものにしつつも、バランスを保つことが可能なのです。また、クラスの長所と短所をより明確に理解していれば、さらに多くのカウンタープレイも可能になります。例えば、ドルイドが大型ミニオンの除去を苦手とすることを知っていれば、試合の最初、相手のデッキの正体が不明なままの状態からでも、戦略を練ることが可能となるのです。

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クラスの解説

我々が現在、各クラスをどのように定義しているかを簡潔に解説します。

  • 得意: そのクラスが注力し、優れている要素です。
  • 限定:そのクラスがある程度は使いこなせるものの、パワーレベルやカードの種類がかなり制限されるべき要素です。
  • 苦手:そのクラスがまったく使えない、あるいは効果的に達成することが困難である要素です。

ドルイド:ドルイドは自然界と調和し、大自然の魔法、巨大な獣、森の生き物の群れの力に頼ります。彼らのツールボックスには、守勢から攻勢に転じるための多様な手段が揃っています。しかし、敵のミニオンを一掃する能力は限定されています。

  • 得意: マナ生成、巨大ミニオン、ミニオンの群れ、カードを引く、獣。
  • 苦手:大型ミニオンの破壊、盤面クリア。

ハンター:ハンターは知恵と獰猛さ、そして共に戦う獣の軍団を駆使して敵を滅ぼします。優れた防御性能を持たないものの、それが必要になるより早く押し切れるほどの攻撃性能があります。絶妙なタイミングでの秘策や断末魔は、敵に対する大きな優位を得るために役立ちます。

  • 得意:獣、顔面ダメージ、秘策、断末魔。
  • 限定:カードを引くことと生成、盤面クリア、挑発。
  • 苦手:回復。

メイジ:メイジは魔法の技を修めており、多様な呪文を駆使して、最も攻撃的な敵の猛攻さえしのぎます。防御のレパートリーは限られていますが、優れたメイジは常に、戦況に対処するための便利なツールを備えています。そして偉大なるメイジは、必要なツールを持っていなくても、それを呼び出すことが可能なのです。

  • 得意:呪文(大~小)、ダメージ呪文、秘策、盤面クリア、ランダム生成。
  • 限定:ミニオンの群れ。
  • 苦手:回復、挑発、ミニオン強化。

パラディン:パラディンは大いなる勇者として、強化や回復、聖なる盾でミニオンを支援します。ですが、戦況に応じて自ら戦うことも厭いません。彼らは破壊的な呪文ではなく、弱体効果や集中攻撃を駆使して、戦場を整然と支配します。パラディンの勝利のカギは、力と粘り強さなのです。

  • 得意:ミニオンの群れ、ミニオン強化と弱体化、回復、聖なる盾、秘策。
  • 限定:コスト削減。
  • 苦手:直接的なダメージ呪文、大型ミニオンの除去。

プリースト:プリーストは聖なる光と、影の魔術をバランスよく使って敵を倒します。状況に合わせた強力な呪文を駆使することで、戦いの流れをコントロールするのです。最も攻撃的なクラスではないものの、生成やコピー、カードの組み合わせを駆使して、強力なミニオン軍団を生み出します。

  • 得意:回復、限定的だが強力な呪文、コピー、単体ミニオン強化、断末魔。
  • 限定:カードを引く。
  • 苦手:顔面ダメージ呪文、複数ミニオン強化。

ローグ:ローグは影に身を隠し、絶好の機会に攻撃しようと企みます。捕らえがたくて素早いものの、強力な防御や回復の能力に欠けているため、なるべく早急に相手を無力化しなければなりません。カードを生成したり、引いたり、盗む能力に優れている彼らは、カード同士の相互作用を大いに利用できます。

  • 得意:カードのコンボ、単体ミニオンの除去、カードを引く、武器、断末魔。
  • 苦手:挑発、回復、盤面クリア、複数ミニオンの強化。

シャーマン:シャーマンは精霊の力と、頼もしいトーテムを駆使します。メイジほど素早くリソースを生成することはできませんが、稲妻を呼んでマナクリスタルをオーバーロードさせ、他のクラスよりも早く、強いパワーを使えます。シャーマンはそのために、前もって数ターン先まで行動を計画する必要が出てきます。マナカーブを自分で調整することで有利を得るのです。シャーマンにはまた、様々な状況で役立つ強力なツールの数々があります。それらはドルイドの「選択」カードほどの汎用性はないものの、他のクラスにはできないような形でシャーマンに力を与えます。

  • 得意:ミニオンの群れ、ダメージ呪文、トーテム、エレメンタル、マーロック。
  • 苦手:カードを引く、カードの生成。

ウォーロック:時には力を得るために代償を払う必要があります――特に、悪魔が関わる時にはそれが顕著です。ウォーロックはこの縛りを良しとしており、敵を倒すためにあらゆるリソース(自分の体力も含む)を注ぎ込むことが可能です。彼らには、代償を払ってカードを引く固有の能力があり、力を補充し続けることが可能です。

  • 得意:代償を伴う強力な効果、カードを引く、ミニオンの群れ、妨害、悪魔。
  • 苦手::顔面ダメージ呪文、強力な回復。

ウォリアー:ウォリアーは戦場に飢えています。最も武闘派のクラスであり、装甲、武器、ミニオンを駆使して敵を滅ぼします。ウォリアーと共に戦うミニオン達は大きめで、彼らの「急襲」と「挑発」は戦いの流れを支配するのに役立ちます。

  • 得意:装甲、武器、挑発、ミニオンの破壊。
  • 限定:カードを引くことと生成。
  • 苦手:顔面ダメージ呪文、複数ミニオン強化、ミニオンの群れ。

中立: 中立カードは、各クラスがそれぞれの長所を伸ばして特定の目的を持つデッキを完成させたり、逆に弱点を補強するために使えます。例えば、パラディンがデッキを完成させるために中立のマーロックを採用するとか、ハンターが中長期戦に耐えられるように多少の回復効果を持つ中立カードを採用する、などです。これらのカードは全般的にパワーレベルが低めに抑えられており、各クラスの弱点を完全に克服することはできないでしょう。

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アイデンティティーに関する問題の解決

各クラスの特徴の定義を行っている間に、我々は確立されたクラスのアイデンティティーに反するカードを何枚か発見しました。これからも必要に応じて基本およびクラシックセットの調整を行いますが、今回のアップデートにおいて[[思念撃破]]と[[退散]]の2枚について対処することを決定しました。

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我々は、ローグが単体除去カードを使って窮地から逃れる技を気に入っていますが、[[退散]]は盤面全体を効果的にクリアすることが可能です。これはローグの弱点の一つを打ち消しているため、我々が彼らの長所を伸ばす方向にデザインすることを制限し、またプレイヤーがローグ相手に戦略的に行動することをかなり困難にしています。

[[思念撃破]]は、相手に直接大きな顔面ダメージを食らわせる能力をプリーストに与えています。我々は、プリーストがゲームを支配する能力をより強調するようなカードを作るためにも、彼らが手札から出せるダメージ量を制限したいと考えています。

これら2枚のカードと入れ替わりに、それぞれのクラスのファンタジーの中核をよりよく表現するカードを導入します。

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プリーストには「光輝」を追加しました。トリッキーな呪文シナジーにも使えつつ、このクラス向けの強力なベースラインの回復も提供する、低コスト呪文を与えたかったのです。ローグには「病魔の運び手」を追加しました。ミニオンを破壊する新たな手段を与え、さらにローグが毒使いの達人であるという点をさらに強調するためです。

これらは基本およびクラシックカードである(従ってセットのローテーションの対象とはならない)ため、パワーレベルを慎重に設定することで、「ハースストーン」が毎年新鮮に感じられ続けるよう保とうとしています。同時に、これらのクラスにとって自然に感じられ、ここぞという状況でしっかり役立つ効果を与えようとしています。

旧基本カード([[退散]]と[[思念撃破]])を所持している全プレイヤーは、このアップデートの実装と同時に、新しい基本カード([[光輝]]と[[病魔の運び手]])を自動的に入手します。

ワイルドモードを開放済みの場合、[[退散]]と[[思念撃破]]は栄誉の殿堂のコモンカードとして、引き続き所持できます。開放していない場合、あなたのコレクションにあるこれらのカード全て(ゴールデンおよび通常)に対応する量の魔素を受け取ることになります。

スタンダードデッキで[[退散]]または[[思念撃破]]を採用している場合、それらは自動的に[[病魔の運び手]]または[[光輝]]に入れ替わります。

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新たなクラシックカードの追加

これまでの数年間に渡って、我々はクラスのアイデンティティーの定義を推し進め、メタゲームの健全性を保つために段階を追って、あまりに多用されていたりデザインを制限するようなクラシックカードを「栄誉の殿堂」に送りつつ、適切なタイミングでこのセットに新カードを追加してきました。例えば、2017年には[[炎の王ラグナロス]]と[[シルヴァナス・ウィンドランナー]]を、より最近では[[神聖なる恩寵]]、[[アイスブロック]]などのカードを栄誉の殿堂入りさせています。2018年には「天下一ヴドゥ祭」のリリースに先駆け、クラシックセットに[[失敬]]、[[アイシクル]]、[[知性の書]]などといった新カードを導入しました。

我々は常に、基本とクラシックを含むあらゆるセットの各カードの使用率とインパクトの査定を行っています。今後も、メタゲームがより健全になり、プレイヤーの皆さんがよりゲームを楽しめるようにするために必要であると判断した際には、変更を実施していく方針です。この変更は、カードを栄誉の殿堂入りさせるという形になるかもしれませんし、プレイヤーに新鮮な選択肢をもたらしつつもゲームの健全性を損なわないような新カードの導入になるかもしれません。

クラシックカードを栄誉の殿堂入りさせる際には、プレイヤーがスタンダードフォーマットで使用できる、入手の容易なカードを十分な枚数に保つために、なるべくクラシックセットへの新カードの導入を行いたいと考えています。我々は長い間クラシックセットへの新カードの追加を検討してきましたが、今こそが導入に最適のタイミングであると感じています。

次回の大型アップデートから、以下の新カードがクラシックカードパックから入手(および魔素を消費して作成)できるようになります。

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我々は常に皆さんからのフィードバックを歓迎しており、今回も以上の変更が実装される前に、皆さんへの情報公開を行っています。

是非あなたの意見をコメント欄、または「ハースストーン」フォーラムからお聞かせください。よろしくお願いします!

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