「ディアブロ IV」四半期アップデート-6月2020年
「ディアブロ」コミュニティの皆さんへ
皆さんこんにちは。最新の「ディアブロ IV」四半期アップデートをお届けいたします。今日このように、皆さんに進捗状況をいくつかお伝えできることを大変嬉しく思います。
これは他の多くのゲーム関連会社やIT系企業と同様のことですが、この記事を執筆している時点で「ディアブロ IV」チームも在宅ワークへと完全に移行いたしました。移行には困難も伴いましたが、「ディアブロ IV」については開発の勢いが削がれることもなく、とても幸運だったと感じています。
チーム・プレイテスト
他の多くのタイトルと同様に、「ディアブロ IV」も進捗の度合いを測るマイルストーンを設けて開発を行っています。そうした目標地点にたどり着くと、大抵はチームの皆でビルドをプレイし、意見を交わして大いに盛り上がります。一例を挙げると、BlizzCon 2019の開催にあたってはマイルストーンとしてチームによるデモ版のプレイテストが行われましたが、イベントでお披露目する上でそれが助けになりました。チームで行ったことで、他のメンバーが達成した内容を早い段階で共有できたほか、デモ版の負荷テストを行うことにもなり、見落としていたバグも発見できました。イベントに備えて改善することができた訳です。
直近のマイルストーンは「乾きの平原」と呼ばれる地域に注力したもので、すべての必要要素をその地域に入れ込み、ストーリー・モードを完成するとともに、オープンワールド要素やアイテムのコンセプト、PvP用サブゾーン、ダンジョン、ムービーを仕上げて、この地域のナラティブを完成することを目標としていました。そしてそれができたら丸二日間、自宅からチームでプレイし、データを分析、個々の意見を交わすことを目標に定めていました。
もちろん私たちは始終「ディアブロ」をプレイしていますが、特定の要素やエリアを調べるだけのことが多いのです。数日に渡って、チームで同じビルドを同時にプレイする時間をとることで、違った視点が得られます。普段よりも長時間のプレイで、現行の要素に齟齬が出てこないかどうかの確認になるのです。この目標は在宅ワーク環境への移行が決まる前に設定したものでしたが、いざ蓋を開けてみると、結果的にチームとして再び一丸となれる非常によい機会となりました。皆さんにとっても同様に、このプレイテストについてお話しする内容や、お見せするスクリーンショットが、今後のブログアップデートをお読みいただく際に役に立つ予備知識となれば幸いです。あるいは、続報が待ち遠しくなるような好奇心の刺激となってくれればと思います。
ただ、これまでの進捗内容全体がプレイテストのみで語られ得るものではないことは、心に留めていただきたいと思います。他の地域の制作も進行中です。完全でまとまりのあるゲーム体験を作り上げる目的で、真っ先に注力する地域として「乾きの平原」が選ばれたまでのことです。そうすることで、この地域から様々な考えを得られます。こうしたブログのアプローチに賛成意見や反対意見がございましたら、今後のアップデートの参考にぜひお聞かせください。フィードバックをお待ちしております。
ブロックアウトの手法について
〈ステージのブロックアウトを作成したり「グレーボクシング」と呼ばれる仮のメッシュにすることで、アート素材が完成していない場所でもプレイできるようになります〉
開発の手法として、アイデアを簡単に試して、繰り返し試作できるように、ビジュアルを粗削りのままにしておくことはよくあります。もし何か気に入らない点があれば、パーツ構成のみの「ブロックアウト」済みのアセットに変更を加えたり破棄してしまう方が、最終版アセットに手を加えるよりも断然コストが掛かりません。
このあと3Dモデルやスクリーンショットをご覧になる際は、私たちが本作に抱いているビジョンを十分にお伝えしきれないものが多いことをご理解ください。ゲームエンジン本来の性能に対しても、チームのアートへの意気込みに対してもフェアではないため、通常であればこのようにブロックアウトアセットを皆さんにお見せすることはありません。しかし、ゲーム制作の「舞台裏」をお見せすることで、ブロックアウトアセットがより洗練されたものに変遷してゆく様子をお楽しみいただけるかと思います。
このブログに掲載しましたアセットのいくつかは最終版ではありません。以下のスクリーンショットはその点を念頭に置いてご覧いただければと思います。
〈クラシカルな「悪魔」のコンセプト段階からブロックアウト、ゲーム内最終版まで〉
ストーリーテリング
「ディアブロ IV」では物語の伝え方において、いくつか進化したと言える部分があります。まず第一に、会話です。「ディアブロ III」では、キャラクター名とアイコンの表示されるUIペインに頼っていましたが、本作では、ツールで自動生成されるものと手動で演出されたカメラワークを組み合わせて「会話」の表現に取り組んでいます。NPCとの簡単なやり取りの場合は、通底する俯瞰視点の感覚は維持しつつもカメラをキャラクターへ近づけ、会話の要旨を表現するためのアニメーションライブラリを導入しました。会話がより複雑な場合は、同様のカメラワークを採用していますが、意図したものに近づけるためキャラクターの挙動やアニメーションは人の手で作成しています。これによって、作品世界への没入感を最大限に保ったまま、複雑に入り組んだ物語シーンを表現できるようになりました。こちらのスクリーンショットは、そのようなやり取りの一例です。
〈頭上カメラを以前よりもズームインすることで、シンプルな掛け合いを演出しやすくなります〉
次に、物語を伝える二つ目の手法として開発しているのが、リアルタイム・カットシーン(RTC)です。ここではカメラを手に持つかのように、映画風にストーリーテリングしています。もっとも、このテクニックは物語の中でも特に重要シーンまで登場しません。こうしたシーンをリアルタイムで扱うことには大きな利点があります。例えば、現在装備している防具のまま、キャラクターをシーンの一部に登場させられるのです。しかも現在の解像度で、有効にされているグラフィック設定のままで表示することができます。よりシームレスで、没入感が得られる訳です。
BlizzConのデモ版では、皆さんにリアルタイムなゲーム内シネマティックの初期バージョンをいくつかお見せしました。それ以来、シネマティックチームとゲームエンジンチームは多くの改善を加えてきましたので、私たちも「乾きの平原」テストプレイ時にクライマックスとなる完成版のムービーが見られる瞬間を心待ちにしていましたし、実際チームの期待は裏切られませんでした。こちらがスクリーンショットです。ストーリー担当とシネマティック担当がネタバレが含まれていないことを確認し、お披露目してよいとGOサインを出してくれました。
〈暗澹たる雰囲気を漂わせる「ディアブロ IV」のゲーム内シネマティック〉
オープンワールド
「ディアブロ」シリーズへ新たに導入する新要素の目玉の一つが、サンクチュアリのオープンワールド化です。ストーリー・モードに没頭してゲームを進められるだけではなく、その道すがら、オープンワールドシステムやコンテンツの多様さに気付かれることと思います。メインのストーリー・モードをひと休みしたくなったら、探索に出かけたり、クラフトしたり、PvPに飛び込んだりもできます。
プレイテスト中のことですが、そんな風に皆の行動に幅があることが分かりました。通しプレイではこの地域のストーリー・モードをクリアするのに平均して数時間が掛かっていましたが、ストーリー・モードのみを集中的にプレイした人は、平均の半分以下の時間で同じエピソードをクリアしていました(もちろん、そのあとでサイドコンテンツもプレイできていました)。ストーリーやサイドコンテンツが多彩に盛り込まれ、それぞれの食指が動くままにゲームにアプローチできることで、本作のストーリー・モードは周回プレイも含めて、従来のARPGよりも一層楽しめるものとなっているでしょう。
〈今回のようなプレイテストではデータを集積し、デザインの方向性を決めるのに役立てることができます。〉
〈この分布ヒートマップは「乾きの平原」で訪れるプレイヤーの多かった場所を示しています〉
クラフトやイベント、ワールドPvP、そしてサイドクエストのようにオープンワールドには行動できる内容が多くありますが、恐らくその中で最も人気を博す要素は野営地でしょう。 初めは敵が手中にしている重要な地点が、ひとたび敵を一掃すると友好的なNPCのいる拠点となり、ウェイポイントからテレポートできるようにもなります。野営地にはそれぞれの成り立ちにバックストーリーがありますが、そうした物語の大半はビジュアルを通して語られます。クエストで直接的に語られる訳ではありません。例を挙げると、あるゾーンの野営地のひとつに、呪いを受けて人々が塩の山に変えられてしまった村があります。他にも、ある霊魂が様々なアンデッドの体に憑依して出没する墓所があります。討伐するまで骸骨から骸骨へと乗り移り続けるのです。
サンクチュアリのささいな一片の土地を取り戻すことで、住人に再び希望がもたらされ、世界が変化する。その変化を衝撃をもって目撃してもらえるように苦心しました。野営地については近いうちに、オープンワールド担当のデザイナーから詳しく紹介してもらいたいと考えています!
〈野営地は初めは敵対勢力ですが、クリアするとウェイポイントを備えた、商人のいる小拠点になります〉
最後にお伝えするのは、マウントについてです。プレイを通じてマウントを獲得できるようになります。オープンワールドとマウントは相性が抜群でした。移動や途中の戦闘を飽きさせず、しかもより早く目的地に着くことができます。さらに、マウントのアイテムコンセプトによって、成長システムに新機軸が生まれることになりました。
マウントに関して特に気に入った点の一つは、鞍にトロフィーを付けるカスタマイズです。トロフィーで他のプレイヤーに対して、自分がクリアした、そのゾーンに「存在しているらしい」チャレンジを暗に示すことができるのです。もっとも、マウントにはまだ調整しなければならない点が多く残っています。例えば、操作に問題点が残り、微調整が必要です。現状では、衝突判定のイレギュラーな箇所で身動きが取れなくなったり、敵のランダムな遠距離攻撃でマウントから降ろされてしまうことがよく起こります。とはいえこうしたことはすべて、プレイと微調整を重ねることで改善されていくでしょう。
マルチプレイ
〈町中ではこの画像のように他のプレイヤーに出くわすことがあるが、ダンジョンはプライベートなもので自身のパーティメンバー以外には出会わない〉
それではプレイテストで得られたことをいくつか例を挙げながら、お話ししたいと思います。ダンジョンと主要な物語シーンは、プレイヤーとそのパーティのみに限られたプライベートなものにしました。物語をクリアして町が交流の拠点になると、町中でちらほら人に出くわすようになります。道を歩いていると、時折プレイヤーと鉢合わせるでしょう。そしてワールドイベントが発生している地点へ行くと、より大きなプレイヤーの集団に出会います――その目的は、人喰い種族のCannibalの大群の攻撃から身を守ろうとしていたり、BlizzConでお見せした悪魔のワールドボスであるAshavaを討ち取ろうとしていたりと様々です。
このようなイベントでは、プレイヤー同士が連携することで有利に戦うことができますが、パーティへの参加は不要であることも強調しておくべきでしょう。ソロプレイヤーでも、飛び入り参加で助太刀し、クリアすれば報酬を獲得することができます。マルチプレイへのこうしたシーレスなアプローチはうまく行っていると思いますし、皆さんに続報をお届けできるのが楽しみです。これまでのテストでは、「ディアブロ」的な感覚を損なうことなく、生き生きとしたダイナミックな世界になっていると言えるでしょう。そして、パーティを組んで地獄の軍勢に立ち向かおうというプレイヤーに向けては、アクティビティ別に、あるいは距離をもとにグループを見つけられる新たなツールを用意しました。
〈BlizzCon 2019でお目見えした「スコスグレン」のワールドボスAshavaは「乾きの平原」にも出没することがあります〉
アイテムと成長システム
二日間のプレイテストで非常に有益だったことの一つに、成長システムについて「恒久的」な印象を受けるという良好なフィードバックを得られたことが挙げられます。一日目に行った装備やスキルの選択が、二日目にも大きく影響していました(もっとも、テストするクラスが複数あったため、何名かは別のロールを選ぶことになりましたが)。私の友人がよく漏らしていた言葉を借りれば、“「ディアブロ」は頭の中でプレイし続けるゲーム”であり「ディアブロ IV」もその例外ではないと言えるでしょう。プレイテストの間は、チームに業務として割り当てられたプレイ時間のみならず、ゲームのことで頭の中がいっぱいになるのを感じていました。自分のビルドに向いたアイテムがドロップするかもしれないとか、重要なスキル同士の兼ね合いを達成しうる「タレント」をようやく開放できるかもしれないなどと思考を巡らせていたのです。
BlizzConから間もなく投稿された、デイヴィッド・キムによる開発者ブログを既にご一読いただいた方もいるかと思います。アイテムの新たな特性やコンセプトの哲学については、そちらでご紹介しています。年内にはアイテムについてもっと内容の濃いアップデートをお届けするつもりですが、それまでの間は、プレイテスト中にドロップしたいつくかのアイテムをお楽しみいただければと思います。
〈新たな属性システムを用いたプレイテストで確認できた様々なアイテム。アイコンは最終版ではないことにご留意ください〉
補足
チームからのフィードバックでは、全体的に「ディアブロ IV」は開発の初期段階にも関わらず楽しくプレイできたことが分かりました。特にクラスについては見通しも明るく、私たちも期待を寄せています。また私たちは、バーバリアンの武器を切り替える「アーセナル」システムやドルイドのシェイプシフトがどうして特別なものと言えるのかという点に着目して、それをヒントに同様の改善をすべてのクラスに実現する方法も探っています(今後のアップデートで詳しくお伝えします)。
また、プレイテストは技術仕様を漏れなく試すことができた非常に良い手段でした。在宅でプレイしていたため、各自が大きく異なる環境でテストしなければならなかったのです。グラフィックカードに始まり、ディスプレイのアスペクト比やインターネット回線速度に至るまで環境はバラバラでした。加えて、今回はクライアントサーバーシステムを試験的に運用する機会にもなりました。プレイテスト中にバグフィックス後のビルド展開も試すことができました。
もちろんアルファやベータにもたどり着けておらず、まだまだ課題は多く残っているのも事実ではあります。開発途中に初期のマイルストーンについてお話しするのは稀なことですが、本年はBlizzConが開催されないこともあり、進捗状況を継続的にお伝えするのはとりわけ重要なことと判断しました。また今回のマイルストーンは、素晴らしい「ディアブロ IV」を実現するための主な材料がすべて揃ったという確かな感触を得られたとこともあり、チームにとっても重要なものでした。もちろん、今後もフィードバックは大歓迎ですし、完成に向けて試行錯誤を繰り返すことになるでしょう。
さて、本アップデートをお楽しみいただけたでしょうか。いつもどおり、お好きな媒体でご意見をいただければ幸いです。ご自身のフォーラムでも、他のサイトやソーシャルメディアでも、コメントやフィードバックをいだだけるのであれば貴重なご意見として受け止めたいと考えています。前回のブログ投稿から熱心な議論が数多く交わされてきましたが、そちらも大変嬉しく拝見いたしました。皆さんの議論は、社内でも盛んに話し合われることとなりました。
皆さんが幅広いトピックに関心を寄せていることも分かり、そのことも嬉しく思っています。これまでの皆さんの意見を拝見すると、タレント・ツリーについて特に活発に議論が交わされているようですので、次回のブログではその点をお話できればと思います。アイテムについてもこれまでとおり頻繁に話題に上がっており、音楽にも大きな関心が寄せられています。これらのトピックについての続報を年内にお届けすることを目指していますので、その点についてもご意見いただければ幸いです。
本アップデートを最後までお読みいただき、ありがとうございました。サンクチュアリの次回続報をどうぞお楽しみに!
〈「乾きの平原」以外の開発も進んでいます。次回のアップデートにご期待ください!〉
-Luis Barriga-
Game Director, Diablo IV Team
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