ディレクターの視点:「オーバーウォッチ」ライバル・プレイの今後
皆さん、こんにちは!最近、皆さんの間で「オーバーウォッチ 2」のライバル・プレイが話題になっているようなので、今週の「ディレクターの視点」では、主にこのモードについて話していきたいと思います。その前に、まずはヒーローへの調整について簡単に見ておきましょう。
ライバル・プレイへの導入にあたって、イラリーにいくつか変更を加えました。主な変更点は、パイロンの回復量の低下、アルティメットの投射物のサイズ縮小、アルティメットの投射物がバリアを突き抜けないようにすることの3点です。パイロンの弱体化は、パイロンと「ソーラー・ライフル」の回復量をバランス調整するためのものです。弱体化以前は、イラリーの回復量の約62%が「ヒーリング・パイロン」によるものでしたが、今回の変更で約55%になります。またこの変更により、ライフウィーバーやマーシーなどに匹敵するくらいの回復量を誇っていたイラリーが、他のダメージ特化型サポート・ヒーローと兼ね合いの取れた回復能力になりました。「キャプティブ・サン」への変更を含め、今回の変更は満足のいく内容になったかと思います。今後もイラリーのダメージ量を注視して、来シーズンにさらなる変更が必要かどうかを検討していくつもりです。また、ロードホッグのパフォーマンスの低さにも注目しており、シーズン7のミッドシーズンのアップデートで調整を行う予定です。
さて、ここ数週間でライバル・プレイについての話題が過熱しているようです。そうした議論のきっかけとなったのは、Eskayさんがある動画を投稿されたことでした。私からも、この議論に意見を述べさせていただきたいと思います。多くの方が述べておられることには賛同できる点も多く、今後のライバル・プレイをどのように進めていく計画なのか、開発チームの考えの一端をご紹介すべきだと判断しました。 開発チームでもライバル・プレイの調整には少なからぬ時間を割いて取り組んでいますが、中~大規模の変更は一朝一夕では実現できません。皆さんが議論している内容すべてをこの場で網羅することはできませんが、特に大きな問題のいくつかについては説明しておきたいと思います。より詳しい情報については、実際に変更を行うタイミングが近づいてきた際にご紹介する予定です。
現在のシステムについてのフィードバックとしてよく耳にすることの1つが、マッチに関する情報量や自分の進捗を確認できないことへの不満です。ライバル・プレイのアップデートが行われた際に、ご自身のレートがどのように上下するのかなどのシステムの詳細を把握しておきたい、ゲームの開始時にマッチの公平さを知っておきたいという皆さんのご意見はよくわかります。「5勝2敗のプレイヤーが次のライバル・プレイのアップデートで降格させられた」などのケースについて、複数の報告をいただいてもいます。調査の結果、そうした事例の多くはMMR(マッチメイキング・レート)の低下によるものでした。例えば、ダメージヒーローにプレイ時間の多くを費やしており、ほかのロールはあまりプレイしていないというケースでは、アップデートの際にプレイ時間の少ないロールでMMRの低下が発生する場合があります。MMRの低下はロールごとに設定されているため、これによって降格につながるほどのレート低下が発生する場合もあります。この結果だけを目にしたプレイヤーが、システムに問題があると考えるのも無理のないことでしょう。「ライバル・プレイ2.0」のアップデートでは、プレイするうえでイライラの原因となる要素を取り除くことに重点を置いていましたが、それが結果的に情報をわかりにくくすることにもつながってしまっていました。
今後は、モード全体の透明性を高めていくことにより重点を置いてアップデートを行っていく予定です。ただし、スキル・レートの算出法を旧来のものに戻すかどうかは、また別の問題であると考えています。スキル・レートについては、今後もさまざまな可能性を検討していく予定なので、皆さんからのレートに関するご意見を引き続きお待ちしています。ランクの変動がマッチの勝敗だけではなく、そのマッチに参加したすべてのプレイヤーの全体的なスキルレベルに基づいて行われる理由や、皆さんのランクが実際にはどれくらいなのかなどについて、より分かりやすくお伝えできるように改善していきたいと考えております。
また、現在のシステムでは敗北時のストレスが増してしまうというご意見についても承知しています。現在は、5勝または15敗するごとにランクがアップデートされるシステムとなっています。勝利した際にはマッチ終了画面で進捗が表示されますが、敗北した際には表示されません。「敗北がきちんと計算されていないのであれば、マッチそのものが時間の無駄だった」と感じてしまうのも無理からぬことです。今後は、マッチの勝敗に関わらず、ランクのアップデートまでの進捗状況を各マッチの終了画面に表示するように変更する予定です。
トップ500ランキングで発生している特異な問題についても触れておきたいと思います。トップ500に入るということは、コミュニティ内でも特に腕の立つプレイヤーであることを意味しており、ほかのプレイヤー以上にニーズや直面する問題も多くなる可能性が高いと思われます。シーズンの前半と後半で、トップ500ランキングでより上位に入る難易度に差があることも、そうした特異な問題の一つでしょう。それ以外にも、待機時間、フレンドとのチーム編成、スキルの高さとマッチの公平性の兼ね合いなど、トップ500に特有の問題は少なくありません。
一方で、トップ500のプレイヤーはほかのプレイヤーに比べて、より完全なライバル・プレイを体験できているという一面もあると思います。ほかのプレイヤーと競い合い、トップ500ランキングを駆け上っていく体験は楽しいものです。しかし、それを多くのプレイヤーが経験できているわけではありません。将来的には、トップ500外のプレイヤーにも、スキル・ティアが上下するだけではない、ランクを上へ上へと進んでいく体験を提供できればと考えています。この点については、長期的な目標として現在チーム内で検討を進めています。
「オーバーウォッチ 2」は絶えず進化し、拡大しています。今後とも、プレイヤーの皆さんに楽しんでいただき、喜んでいただけるような形でそうした進化を続けることが、開発チーム一同の願いです。その目標を達成するためには、プレイヤーの皆さんと開発チームが建設的なやり取りを重ねることが重要です。MMRの低下の扱いなど、ライバル・プレイに関する変更についてはできるだけ速やかに実施する予定ですが、より広範な内容の変更については、来年の初めごろを目途に実施する計画です。より長期的には、情報開示の機会を増やしてシステムの透明性を高めることや、高スキル・ティアでのチーム編成の制限の一部緩和、新たなライバル・プレイ報酬の導入などを目指していきます。今後も、皆さんと意見を交換できれば幸いです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。またゲーム内でお会いしましょう。