オーバーウォッチ 2
ハロウィン・テラー:アドラーズブルン城主の手記
ジャンケンシュタイン博士がアドラーズブルンに残した爪痕も、ようやく癒えるきざしが見えはじめ、心から嬉しく思う。町には平和が戻り、通りは明かりと笑いで満ちている。復興の知らせは各地に広まり、遠路はるばるやって来て祝いの席に加わる客人も多い。この町が見舞われた不幸も、ついに幕を閉じたようだ。
しかし、白状すると我が輩は、恐ろしきジャンケンシュタインと対峙した直後のような、眠れぬ夜にさいなまれているのだ。博士の復讐劇から一年が経とうとしている今、懐かしき恐怖が再び我が輩に迫っている。単なる妄想だと自分に言い聞かせ、恐怖を振り払おうと努力する。このような不確かな心配事を身の回りの者に打ち明けるわけにはいかん。恐怖は自分一人で抱え込まなければならない。それが、城主たる者の宿命だ。
幸い、今は秋祭りの準備で忙しく、仕事に没頭している間は不安を忘れられる。そうそう、祭りが無事に終わったら、城内の古い一画から聞こえる妙な音の原因を衛兵に調べさせなければな。またネズミが巣を作っていないといいのだが!