「ディアブロ IV」四半期アップデート – 2020年12月
目次
皆さんこんにちは。2020年最後の「ディアブロ IV」四半期アップデートをお届けいたします。
本作の開発は順調なペースで進んでいます。本日お伝えする内容はホリデーシーズン前に完了できるよう長らく力を注いできたものであり、大きなアップデートと変更点について、こうしてお知らせできることを大変嬉しく思います。今回のお話の中心となる大幅な変更点は、今年最もリクエストの多かったトピックでもある「アイテムのコンセプト」ついてです。
アイテムは「ディアブロ」に欠かせません。ゲームを中断した後も「もしこうなら?」ということを考えさせて、プレイヤーの想像力を捉え、プレイを続けさせる重要要素です。今度こそ自分の求めていた装備がドロップするのではと期待したり、あるいはマッドサイエンティストのように頭の中でアイテムの組み合わせをあれこれと思い悩んだり、考えさせられる内容はさまざまでしょうが、間違いなくアイテムこそが「ディアブロ」シリーズを魅力的かつ他のタイトルと一線を画すものたらしめている大きな要素のひとつでしょう。
アイテムのコンセプトを間違えないことは重要であり、私たちもそれを理解しているため、この部分について初期段階から皆さんのフィードバックに細心の注意を払ってきました。BlizzCon 2019でお見せした内容やその後のブログ記事、最終的なゲームリリースへの流れのなかで、一層のイテレーション(繰り返しの修正工程)が必要になることは心していました。過去の「ディアブロ」シリーズから、こうした反復型の開発工程をやり遂げるには、より多くの時間とリソースが必要になると分かっていました。幸い、現在のスケジュールにはその時間も盛り込まれています。皆さんのフィードバックのおかげで、その反復工程をいくらか前倒しでき、新たな方向性を少しでも早くお知らせできるようになりました。
本日は、リード・ゲームデザイナーのジョー・シェリーがアイテムのコンセプトに関する主要なアップデートについて余さず解説します。アイテムのコンセプトについては、あらゆる面を見直し、ポテンシャルを活かし切れていないと感じた箇所をリワークしてきました。それは、クラスに関わる個々のステータスから、所持品画面のアイテムのビジュアルに至るまで多岐にわたります。もちろん、まだ初期段階なため、これから多くのテストプレイにより調整を加えなくてはなりませんが、私たちはこの方向性によってより確かな筋道を進めるようになったと考えており、それを今日お伝えできて嬉しく思います。
最新情報について、 ソーシャルメディアもこまめにチェックしてください。いつも通りフォーラムやお好きなチャンネルから、このアップデートについてご意見・ご感想をお寄せいただければ幸いです。私たちもそちらをチェックして、引き続き今後のブログで取り上げるトピックを探そうと思います。
次回のアップデートは、ブログではなくBlizzConline中で発表する予定です。内容に関する予想に目を通してきましたが、充実したものになることをお約束します。ただネタバレは避けたいので、前回のBlizzConでお見せした「たき火」シーンも新しくなっているとだけ言っておきます。
それでは、地獄でお会いしましょう!
-ルイス・バリガ
「ディアブロ IV」ゲーム・ディレクター
今日は「ディアブロ IV」のアイテムに加えられる変更点と、前回の開発ブログで少しだけ触れた内容についてお伝えします。どのような変更をするべきか決定する上で、私たちは次の考えを中心に据えました。
- その1、直感的な目を引くファンタジー要素でクラスのアイデンティティを強めるたい。そのため、クラスの持つ「ファンタジー」(皆さんが心に思い描くようなイメージ)を具現するようなアイテムやスキルがあることが望ましい。
- その2、アイテムを通じてより深いカスタマイズを可能にしたい。そのため、アイテムはクラスをサポートし、強化するものであるべきで、クラスを定義するようなものは望ましくない。
- その3、総合的に見た本作の深みは「ディアブロ II」と「ディアブロ III」の中間にあり、何年もかけて発見していける要素を用意し、クラスのビルドが無数にあるようにする。
スキルツリー
前回の四半期ブログでスキルツリーについて発表してから、いただいたすべてのフィードバックに目を通してきました。また、チームは大規模なものも含めた社内でのテストプレイを頻繁に実施し、実際にスキルツリーの感触を確かめました。その結果、方向性として間違っていないと確信が持てました。そのため、ここからは反復工程を経て、スキルツリーに改善を加えていきたいと考えています。例を挙げると、関連し合うスキルノードのさらなるクラスター化です。これにより、ツリー内を探し回らなくても自分のビルドのスキルアップグレードを見つけられるようになります。
また、いわゆる「Respec」と呼ばれるとスキルの振り直し機能はバランス調整が難しい要素です。私たちは皆さんの多くと同じように、選択内容が違いを生み、それぞれのキャラクターに個性を感じられるようにしたいと考えています。1クリックだけで他人と同一キャラクターになれるようにしたくはありません。それと同時に、プレイ開始時にさまざまなスキルを試してもらい、自分に合ったビルドを発見してもらいたいとも考えています。「ディアブロ IV」では、通常スキルとパッシブ・スキルがRespec可能になります。ただし、Respecは何回でもできますが、無料ではありません。序盤は容易にRespecできますが、キャラクターが成長するにつれて、Respecに必要な労力とコストも大きくなります。そしてエンドゲームではビルドの変更にかなりの投資が必要になります。その投資は、キャラクターを構築するためにつぎ込んだ時間と労力に見合うものとなるでしょう。
基本ステータス
前回のブログで、キャラクターの強さが装備アイテムに依存しすぎているという皆さんの意見に賛同しました。「Angelic Power(天使の力)」、「Demonic Power(悪魔の力)」というフレーズが喚起するイメージは好ましいものですが、この二つのフレーズは、「バーバリアン」や「ソーサラー」、「ドルイド」としてのファンタジーを裏打ちしてはくれません。そこで、私たちはルーツを振り返り、初期「ディアブロ」の古典的なRPG要素を参考にしました。大量のモンスターをなぎ倒し、目的地にたどり着くためレベルを上げるその工程で、プレイヤーは本当は何をしているのでしょうか?プレイヤーにとってそれは、トレーニングであり、スキルの練習であり、プレイを徐々に改善している作業とも言えるでしょう。より強く、洗練されていくわけです。
レベルが上昇すると、筋力、知力、敏捷性、意志力のどれかに振り分けられるポイントとスキル・ポイントを獲得します。もちろん、大抵のバーバリアンのビルドは、「筋力」を上げるメリットが大きいわけですが、ビルドが進んでスキルやシナジーが決まっていくにつれて、他の能力値もミックスした方が良くなります。
アイテムによって意志力や筋力を少し上げて、キャラクタービルドのステータスを後押しすることもできますが、ステータス値の大方はポイントをどのように割り振るかによって決まります。
そして、ここが面白い部分です。各クラスのスキルツリーにあるスキルの多くは、基本ステータスが特定の数値に達すると、追加の効果を得られます。そうしたスキルの効果は、スキル・ポイントを消費して基本効果をアンロックでき、さらに十分な基本ステータスを得れば、追加の効果を獲得できます。
さて、それではアイテムの話題に移りましょう。
武器のタイプ
前回のブログで少し触れたように、私たちは核となるアイテムのコンセプトに大幅な変更を加えています。
まずは「ディアブロ IV」の各クラスが使えるさまざまな種類の武器について見てみましょう。武器のタイプは見た目の上で区別が付きやすく、また、バーバリアンの「アーセナル」(Arsenal)のように、ゲームプレイ上意義のある効果を持ったものになっています。加えて私たちは、武器がよりリアルで存在感を感じられるものにするためにゲームエンジン上での改善も多数実施してきました。「アップヒーバル」(Upheaval)使用時にバーバリアンのメイスによって出来る地面の溝などがその一例として挙げられます。
とはいえ、まだ何かが欠けていました。ワンドはこん棒武器であるクォータースタッフよりも素早い動きで攻撃できることが望ましく、剣とメイスとでは、動作が異なっていなくてはならないはずです。実際にこれがどのように感じられるか検証するため、前回の社内テスト環境ですべての武器に武器スピードと固有の性質を追加しました。
大まかに言うと、片手武器は素早く攻撃できて、元の体勢に戻るのも早い一方で、動作の遅い両手持ち武器は大ダメージを与えられます。皆さんも2種類の武器の違いを体感できるはずです。
スピードに加えて、それぞれの武器タイプが、固有の物理特性を備えるようになります。たとえば「盾」の場合ブロックの値がそれにあたります。サンクチュアリで見つかる盾はすべて、魔法特性の他に、ブロック値を持つようになるわけです。こうした特徴は物理特性であり、タイプが同じであればどの武器も効果が一貫しており、変えることはできません。
これらのアイテムについてお気づきになった方もいるかもしれませんが、画像には実際の装備の高解像度版が使われています。「ディアブロ」のようなゲームではアイコンは重要です。アイコンはゲーム内のキャラクター上に表示され、入手したアイテムが特別であるという感覚を生んでくれます。また、「指輪」のようなキャラクター上に表示されないアイテムは、それが何であるかをアイコンが規定してくれます。私たちはすべてのアイコンを改善しました。
アイテムの希少度
アイテムの希少度についてもホットな変更があります。デザイン哲学として、私たちはアイテムの希少度を明確に把握することにより、分析が明快になることをよしと考えています。つまり、逐一調べなくてもドロップしたアイテムが自分にとってアップグレードと言えるかどうかがすぐに分かるのであれば、どのスキルレベルのプレイヤーにとってもプラスになるという考えです——例えば、希少度「マジック」の青色アイテムは良いものだが黄色の「レア」はそれを上回る、といったように。レベルアップして、より複雑で、強力な効果を持ち、また見栄えもよいアイテムへと一歩前進できたときには、成長したという心地よい感覚を覚えるものです。また、「ディアブロ III」の「レジェンダリー」アイテムに見られるような、ゲームの進行をがらりと変えるほど大きな力がアイテムに宿っていればとてもワクワクしますし、通常の付加特性(*)ではありえないさまざまな効果をもたらしてくれます。(*修飾辞(Affix)で表されるためアフィックスとも呼ばれる。)
とはいえ、レジェンダリーのオレンジ色アイテム以外は全部無視するのが正しい選択肢である、というようなことにはしたくはありません。
そのため、この点について大幅な変更を加えます。マジック・アイテムの個々の特性(Affix)を上方修正し、エンドゲームにおけるレア以上のアイテム特性の上限数を増加させます。レジェンダリーの特性はそれぞれのレジェンダリー・アイテムでランダムに付与されます(これは本当です!)。また、ユニーク・アイテムがミシックに取って代わります。
レジェンダリーの特性
レジェンダリー・アイテムは、特性(Affix)の一つがレジェンダリーの効果を持つものにすげ替えられたレア・アイテムと考えてください。今回新登場のレジェンダリー特性は通常の特性と同様、個々のアイテムとスロットごとにランダムに付与されます。それらの多くは全クラス共通ですが、クラスに固有のレジェンダリー特性も存在します。
上の例にあるように、特性(Affix)は属性攻撃への耐性から(特性の説明が記載される個所に、その代わりに現われる)宝石やルーン用のソケットなど、多岐にわたります。言うまでもありませんが、Attack(攻撃力)は武器により、Defense(防御力)は防具により得られる値です。アイテムに付く特性の最大数が増えたため、多様性を維持するために新たな特性も追加する予定です。
ユニーク
「ディアブロ IV」で、ユニーク・アイテムが大々的なカムバックを果たします。ユニーク・アイテムは完全に固定の付加特性を持ち、テーマが重視され、通常はその力はクラス固有のものとなっています。私たちはそうしたアイテムのファンタジーを取り入れたいと考えています。
今でもミシック・アイテムのアイデアは好ましいものと思っていますが、このアイテム稀少度によってそれ以外の存在意義がなくなるような事態にはなって欲しくありません。ですので、ミシックはなくします。ミシックの一番良かったところは、アイテムにランダムなレジェンダリーのパワーが付与されることだと私たちは考えており、そのため、レジェンダリー・アイテムのデザインにそれを取り入れました。
スキルツリーとパッシブ・スキルツリー、基本ステータス・ポイントが追加され、アイテムに変更が加えられた今、皆さんがどのようなビルドを作ってくれるのか、それを見れる日を待ち遠しく思っています。ユニーク・アイテムで増強を図りながらスキルに重点を置く人もいるでしょうし、さまざまなレジェンダリーの特性からまったく新しい何かを作り出す人もいるでしょう。特定のスキルと基本ステータスとの創造力あふれる組み合わせを発見する人もいれば、ひとつの特性を最大限に増強して絶大な効果を得るために変わったレアやマジック・アイテムを取り入れる人もいるでしょう。
このブログのアップデート内容について、皆さんからのフィードバックを楽しみにしています。本作はまだ開発中であり、これらはすべてまだ未確定で変更の可能性があることにご留意ください。内容についての建設的な議論は「ディアブロIV」の開発に大いに役立ちます。皆さんからのサポートと、本作に関してご意見いただけますこと、心より感謝したいと思います。本作の開発期間を通じで、引き続きアイテムのコンセプトに手を加えていきたいと思います。来年のBlizzConlineでお会いできるとことを楽しみにしています。これ以外の他の要素について、2021年はお伝えしたいことが山ほどあり、詳細をお話しできる日を待ち遠しく思っています。
– ジョー・シェリー
「ディアブロ IV」リード・ゲームデザイナー
今日お知らせした内容について、質問やコメントがある方は、是非 こちらの一般フォーラム(英語)に投稿をお寄せください。皆さんのご意見お待ちしております!