オーバーウォッチ2

火星人類の第一歩に向けて - ジュノの開発を振り返る

Blizzard Entertainment

ついにデビューした「オーバーウォッチ 2」初の火星出身のヒーロー「ジュノ」。あの浮遊感とスピード感にあふれるアビリティを体験した方はもちろんのこと、あわせて公開されたジュノのコミックやヒーロー・トレーラーをご覧になった方もすでに多いことでしょう。今回は、コンセプト・アーティストのダリル・タンとリード・ナラティブ・デザイナーのミランダ・モイヤーが、ジュノの開発秘話をご紹介します。 

ジュノの開発においてカギとなったアイデアは何ですか?

ダリル・タン:ヒーロー担当のチームの構想です。「素早い動きでヒットスキャン系の武器を操るサポートヒーロー」というチームの案をもとに、この特徴に合いそうな「宇宙」テーマのデザインを掘り下げていきました。ジュノはほぼゲームプレイの内容を前提にデザインを進めたヒーローだったので、考案されたアビリティの数々から、ジュノのビジュアルを構築していった次第です。 

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ジュノのデザインに特に影響を与えたアビリティはありますか?

ダリル・タン:「パルサー・トーピード」は特に大きかったですね。スタイリッシュなバイザーに表示されるインターフェースとロックオンのターゲットというあのビジュアルは、アビリティの運用条件が生んだものです。

ミランダ・モイヤー:アビリティはジュノのストーリーにも大きく影響しました。一体、ジュノはあの宇宙テクノロジーを操る術をどうして、どのようにして覚えていったのか…この問いを重ねながら、私たちも火星での幼少期を始めとするジュノのバックストーリーを構築していきました。

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「火星出身のヒーロー」というジュノの肩書きが生まれた経緯について教えてください

ミランダ・モイヤー:私たちは、ルーチェン・インターステラーの運営規模の大きさにスポットライトを当てたいと思っていました。ジュノが誕生するきっかけとなった「レッド・プロミス計画」は、ルーチェンがホライゾン・ルナ・コロニーの成果を踏まえて極秘裏に進めていたプロジェクトの1つです。科学者で構成された小規模なチームを火星に送り、火星入植の第1段階を進めるというのがレッド・プロミス計画の目的で、この計画の進行中に火星のコロニーで生まれたのが史上初の「火星人」であるジュノです。ジュノの「地球で暮らしたことのない人類」という要素は、ナラティブ・デザイン(ストーリー構想)の初期段階から考案されていたもので、私たちとしても心惹かれるものでした。ジュノの個性を形成するうえで重要だった要素の1つです。

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ジュノは助けを求めに地球へと出発しました。そのいきさつについて教えてください 

ミランダ・モイヤー:レッド・プロミス計画の目的は火星のテラフォーミングです。テラフォーミングするには当然、火星の地形を改変する必要がありますが、その過程でデブリが空中へと舞い上がります。このデブリが火星上空に溜まった結果、コロニーの安全を脅かすほどの巨大な砂嵐が発生しました。わずか数年でコロニーでの活動が継続できなくなるまでに砂嵐の被害が拡大しただけでなく、ルーチェンとの通信も完全に途絶えてしまいます。

メンバーは残された資材を使って脱出用の船を作りますが、資材不足ゆえに、地球へと脱出できるのは1人だけ。そこで彼らは真っ先に、本来であれば計画の一員でなかったジュノを地球に送ろうと決心します。自分たちよりもジュノにこの先もずっと生きていてほしかったんですね。二度と火星へは戻れないことを覚悟した上で送り出されたジュノもまた、両親を含むレッド・プロミス計画のメンバー全員を助ける決意を固め、現在その救出方法を探しています。ジュノが地球で助けを求めているのは、こうした理由があってのことなんです。

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ジュノが地球での体験にあんなにも興味津々で、好奇心旺盛な理由は何ですか?

ミランダ・モイヤー:ジュノの個性は、あの声もそうですが、彼女自身の経験値にあると言っても過言ではありません。地球を経験したことがないジュノにとって、地球の多種多様な文化はまさに圧巻の一言。時に彼女が自信をなくし、不安になってしまうのは、地球の文化に対する知識をまだまだ深めていないからと言えます。

ですが、開発者アップデートでもご紹介したとおり、彼女のすごさは自分自身の不安に向き合えるところです。未知に対して怖がっていることに間違いはないのですが、それでも勇気を出して解き明かそうとする姿にジュノのヒーローとしての素晴らしさがあります。そしてジュノの場合、不安があるなかでもそれを上回る好奇心を持ち合わせているんです。メイの助けを借りながら地球への理解を深め、経験を重ねていくジュノの今後に期待してもらえたら嬉しいです。

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ジュノに関する面白い小ネタなどがあれば教えてください

ダリル・タン:ジュノとレッド・プロミス計画のつながりを示すものとして、同プロジェクトの記章(エンブレム)をジュノのスペース・スーツに取り入れています。それから、ドラドに着陸した脱出ポッドには、ジュノのお母さんとメイの2ショット写真が貼られています。あれをよく見ると、写真のお母さんの髪型がジュノのと似通った部分があることに気づくかと思いますよ。

ミランダ・モイヤー:私が特に「気づいてくれたら嬉しいなあ」と思っているのが、ジュノとメイの関係です。ジュノのお母さん、ジャイーはメイの大学院時代の友達で、マップ「LIJIANG TOWER」ではメイがジャイーについて言及するセリフを聞けます。母親あるいは科学者としてのジャイーしか知らないジュノにとって、メイはコロニーを救うカギであると同時に、ジャイーが火星の移り住む前の素顔を知る存在。お母さんの地球在住時代のストーリーに興味津々になっているジュノにも注目です。 

それと、ジュノに対して母親のように接するメイにもほっこりするかと思います。ジュノがちゃんとご飯を食べているか、十分に睡眠をとっているかと心配するメイの心温まる一面を、ゲーム内でぜひ見てほしいですね。

ダリル・タン:すでに多くの方が気づいてくれていて嬉しい限りですが、メディブラスターに表示されているあの顔アイコンは、撃った相手が味方か敵かによって変わります。あれは、撃ったターゲットを識別して、そのターゲットの種類に応じて弾を変えられる、メディブラスターのプログラムを応用したものです。アイコンをにっこり顔と怒り顔にすることで、ジュノのキャラクターをキュートかつコミカルに反映できたかと思っています。

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ジュノはすでに「オーバーウォッチ 2」で正式にデビューしています。ジュノをまだ試していない方、もっと知りたいという方は、ゲーム内で思う存分に遊んでみてください。ジュノが地球に来るまでの経緯を描いたヒーロー・トレーラーとコミックもあわせてどうぞ。それでは、また次回の記事でお会いしましょう!