開発チームがゲンジのミシック・スキン「サイバー・デーモン」を徹底解説
ゲンジの「サイバー・デーモン」スキンは初めてのミシック・スキンです。ミシック・スキンはレジェンダリーのさらに上を行くランクで、今までのスキンではできなかったアートワーク、アニメーション、特殊効果が満載です!
私たちが初めてのミシック・スキンを作るヒーローにゲンジを選んだのにはいくつか理由がありますが、ゲーム内でトップクラスに人気が高いキャラクターにスキンを作るのは自然なことでした。死の淵から救われ、サイボーグ忍者に生まれ変わり、やがて調和と平穏の中に生きる意味を見出した弟龍のことを、きっと皆さんも大好きだと思います!
ゲンジはストーリーもプレイスタイルも複雑なヒーローです。そんな彼のミシック・スキンを作る工程もまた、今までとはひと味違う複雑な道のりでした。今回お話を聞くことになる、スキン制作に関わったメンバーをご紹介します。
- リード・コンセプトアーティスト - キー・ファン
- シニア・キャラクターアーティスト - ジェフ・ミアノウスキー
- アニメーター - ニキータ・タランドゥケ
- シニア・テクニカルアーティスト - チョンラワット・タマワン
- リードVFXアーティスト - クリス・ウィルソン
- シニア・サウンドデザイナー - ジェイコブ・レイン
ではさっそく、「サイバー・デーモン」を含む「オーバーウォッチ 2」のスキン制作過程を見ていきましょう!
コンセプトアートでサイバー・デーモンを召喚する
コンセプトアートとは、クリエイティブなアイデアが実際に絵になったもので、この後の全ての工程の起点です。チームには非常にクリエイティブな面々が揃っているので、まずはプロジェクトの全体像を描き出すことから始めます。
様々なヒーローに様々なコンセプトを当てはめながら、ミシック・スキンの制作プロセスを検討しました。「当初のコンセプトアートはユニークなテーマのレジェンダリー・スキン用に描かれたものでした。ここからバリエーションやカスタマイズ、エフェクトの候補を挙げていきます」とファン言います。
「スキンの方向性は、シーズン1のテーマであるサイバーパンクが中心になりました」とファン。
こういったユニークなテーマはデザインを決めるガイドになります。そこから、「オーバーウォッチ」らしいサブテーマとともにスキンを洗練させていきます。「ゲンジの場合はアーマーやタトゥーのデザインに日本のアートを取り入れています。私たちはいつもそれぞれのヒーローらしさを重要視しているので、彼の性格や雰囲気に合う色の組み合わせを選びました」とファンは言います。
ゲンジの「サイバー・デーモン」にはアーマーと色の組み合わせだけでなく、さらにテーマから着想を得たユニークなカスタマイズやエフェクトが付属します。こういったバリエーションの案のそれぞれをコンセプトアートに起こしたら、モデリングとアニメーション担当が実際にゲーム内に登場するゲンジのミシック・スキンを作り始めます。
サイボーグ忍者にはサイバネティクス満載の3Dモデルを
完成したコンセプトはキャラクターアートチームに共有され、モデルとスキンに乗せるためのカラー、模様、テクスチャが作られます。それぞれのヒーローには独自のボディ、武器、装備モデルがあります。ゲンジの場合は特にモデルの数が多く、チームは少々苦労しました。
「通常のゲンジ用スキンには武器メッシュが5種類必要になります。手裏剣、刀、刀の鞘、短刀、短刀の鞘です。『サイバー・デーモン』には武器が2セット付いていますので、通常の武器メッシュの倍必要です。さらに、それぞれのセットにはカラーバリエーションが3種類あります」とミアノウスキーは語ります。
「今まではほとんど手を加えることのなかった、アルティメットのドラゴンも新たにモデルを作りました」とミアノウスキー。ゲンジのマスクは「龍撃剣」使用時や、一部のポーズ、ハイライト・イントロで開きます。アニメーションチームは3種類のマスクが正しく頭にフィットするかを調べるため、ゲンジのアニメーションを全て確認し調整することになりました。
全てのアセットをゲームに実装するにあたっては、新しく追加されたカスタマイズと技術的な要件を入れ込むための全く新しいパイプラインが必要になりました。「最適化は非常に重要な工程でした。常にゲームのパフォーマンスを意識しつつ、最高にかっこいいゲンジ用ミシック・スキンを完成させることができたと満足しています」とミアノウスキーは語ります。
プレイヤーが好きなカスタマイズを組み合わせられるよう、新しくUIも作りました。テクニカルアート・チームは全てのピースがきちんとはまり、ゲーム内で正しく機能するよう心血を注ぎました。ピースが揃った所で、今度はサイバー・デーモンのために、「龍撃剣」のようなキレのいい視覚効果と効果音を付ける番です!
我が身に光が宿る…VFXがあるからな!
VFX(ビジュアルエフェクト)とは3Dモデルに特殊効果を付与する視覚アニメーションです。例えば爆発、マズルフラッシュ、「ヴェノム・マイン」を踏んだときの毒の霧などはVFXにあたります。
「ゲーム内でゲンジのスキンを確認できるようになったら、エフェクトの試行錯誤を始めました。このスキンのために手裏剣や「龍撃剣」など、全てのアビリティをアップデートしています。ヒーロー選択、エモート、ハイライト・イントロなど、ゲーム内でスキンを確認できる場所を全てデザインし直しました。1つのスキンのためにアビリティを全て置き換えたのは初めてですね」とウィルソンは振り返ります。
「まず着手したのが、環境効果です。一例として、マスクを開くと煙のような霊気が吐き出されます。その後はアビリティにも手を加えました。ミシック・スキンのVFXを、当初予定していたよりもさらに手の込んだものにしようと考えたのです」とウィルソンは語ります。
「たくさんのエフェクトをモデルに重ねていきましたが、大前提としてゲームプレイの観点から違和感なく機能しなければなりません。『オーバーウォッチ』は特に戦闘中のエフェクトなど視覚情報が多いので、特殊効果は味方からしか見えないようにしました。常にゲームプレイを意識して制作を進めました。そして、割り出された制約の限界ギリギリまでアートワークで冒険したのです」とウィルソン。
スキンの制作過程では、モデリングは基本的にコンセプトアートの後に行いまが、ゲーム内で目にしたり耳にしたりするVFXとSFXは同時に制作されます。
手裏剣、刀、背筋が凍るSFX
SFX(サウンドエフェクト)はゲームの没入感を増す効果音です。ゲンジのリロード音からスキン特有のボイス・ラインまで多岐にわたります。
「ゲンジの『サイバー・デーモン』はかつてない規模でヒーローのオーディオ全体に手を入れました。今まで作ってきたスキンの中でも圧倒的です。ゲンジのオーディオをデザインする上で、コンセプトアートとスキン、ひいてはシーズン全体のテーマをサウンドに落とし込みました」とレインは語ります。
「サイバーパンクのデジタルな要素に着目し、SFXにはシンセやソフトウェア系の音を使っています。アルティメットはキーのコンセプトアートから着想を得て、刀を抜くと電子音が鳴り響きます」とレイン。こちらの動画で、通常の「龍撃剣」と「サイバー・デーモン」の「龍撃剣」を聴き比べてみてください。
ゲンジが「サイバー・デーモン」を身につけると、エモート、ハイライト・イントロ、武器の多くに独自の効果音が付きます。「『龍撃剣』には独特の効果音があり、敵に向かって振るとピッチが変わります。ゲンジがサイバネティクスを施されている体であることを踏まえ、刀も鋭い電子的な雰囲気にしました。
敵を斬りつけると、まるで刀身が熱されていたかのような音がします」とレインは言います。
あらゆる部門がそれぞれ重要な役割を果たしたことで、初めてのミシック・スキンが生まれました。ゲンジの「サイバー・デーモン」を皮切りに、今後も素晴らしいスキンをお届けしたいと思います。チーム一同、皆さんが実際のゲームでこのスキンを使っているところを見るのを楽しみにしています!
最後に、レインからの一言です。「実際にプレイした皆さんが、作った私たちと同じくらい満足感を得られますように!」
「オーバーウォッチ 2」をプレイして2022年12月6日までにプレミアム・バトルパスの最後まで到達すると、ゲンジのスキン「サイバー・デーモン」を獲得できます。プレミアム・バトルパス特典のXPブーストや、フレンドとのグループXPボーナス、チャレンジ完了によるXPを合わせれば、ミシック・スキンのアンロックもあっという間です!
新ヒーロー「ラマットラ」が登場するシーズン2も近づいてきました。今後シーズン2に関する情報も発信していきますので、どうぞお楽しみに!