ディアブロ IV

「ディアブロ IV」四半期アップデート – 2022年3月

Blizzard Entertainment

皆さんこんにちは。2022年最初の「ディアブロ IV」四半期アップデートをお届けいたします。システムやアイテムのコンセプト、ビジュアルエフェクトに関する前回の四半期アップデートをお楽しみいただけたなら幸いです。そちらのブログを含め、過去のアップデートを見逃してしまった方はこちらよりご覧になれます。

最初のブログ投稿以来、開発の進捗は目覚ましいものがあります。こうしたアップデート記事だけでエンジニアやデザイナー、アーティスト、QAチーム、プロデューサー陣の作業内容のすべてを皆さんにご紹介するのは簡単ではありません。すでに修正済みのバグはお見せすることはできませんし、ゲーム内に導入されたり、カットされた機能の進捗状況の表を見せて説明する訳にもいきません。そうしたものは見せられませんが、記事を通して皆さんからのフィードバックや内部テストによって、アイテムのコンセプトやスキルツリーなどのシステムが進化してきた過程はご覧になれます。また、今回はダークファンタジーのゴシックホラーというテーマに沿ったアートの実現に、私たちがどこまで近づいているかをお見せできるかと思います。ただし、本日公開する画像はまだ開発中のものであることにご留意ください!

「ディアブロ IV」で誇りに思えるような最高のビジュアル品質と、探索に夢中になれる深い没入感のある世界をお届けるするためには、多くのアーティストが協力する必要があります。皆さんのプレイするシームレスなゲームは、ライティングやエンバイロメント、プロップ&インタラクティブなど、アートとビジュアルの数多くのレイヤーがひとつにまとまって作り出されています。今回はこれらの複数のレイヤーに携わるアーティストたちがサンクチュアリの世界を構築するために行っている作業について詳しくお話しします。

この四半期アップデートをお楽しみいただければ幸いです。ご意見やご感想をお待ちしています。今年はエキサイティングな情報がたくさんお届けしますのでご期待ください。皆さんがこの旅に一緒にご参加くださっていることに感謝いたします。

私たちが開発したゲームをプレイいただきありがとうございます。それではアーティストたちに登場してもらいましょう!

- ジョー・シェリー
「ディアブロ IV」ゲームディレクター


クリス・ライダー
「ディアブロ IV」エンバイロメント部門アートディレクター

チームは熱心に開発を続け、皆さんを「ディアブロ IV」のゲーム内環境開発の舞台裏にご招待できる運びとなりました。今回話してもらうのはエンバイロメント部門アソシエイト・アートディレクターのブライアン・フレッチャー、アソシエイト・ライティングディレクターのベン・ハッチングス、リード・エクステリアエンバイロメントアーティストのマット・マクデイド、リード・プロップ&インタラクティブアーティストのチャズ・ヘッドです。彼らは、最終的にひとつに組み合わさって「ディアブロ IV」の世界となる、それぞれの分野におけるアプローチについて解説します。今回紹介しているロケーションの多くは開発の進行度がまちまちですが、新たな「ディアブロ」でチームが制作している素晴らしいアートを披露するには最高の機会となるでしょう。

「ディアブロ IV」のゲーム内環境は、皆さんが体験する5つの地域と数百にのぼるダンジョンなど、多種多様な地域とビジュアルに関わります。皆さんはこの環境でモンスターを倒し、宝物を集め、探索を行うことになります。もちろん、Blizzardの才能あふれるデザイナーやワールドビルダー、エンジニア、エンバイロメントアーティスト、ライティングアーティスト、テクニカルアーティストがいなければ実現できないことです。

「ディアブロ IV」の環境の制作では、シリーズ初期の作品よりもダークで現実に即したアプローチを取っています。狙いはリアリズムではなく信憑性です。信憑性は、プレイヤーがダンジョンやオープンワールドを探索しているときに目にする素材を使うときや、建造物や遺物の緻密な構築によって実現します。さらに、サンクチュアリのような中世世界の事物や場所が視覚的にどのように見えるのか、その基礎は、それぞれの地域の気候や多彩な生態系、そして歴史的情緒によって支えられています。サンクチュアリには歴史があり、闘争や紛争であふれているため、ダークな中世ゴシックをテーマにした魅力的なロケーションが数多くあり、それらの場所を通じて多様な世界を描く機会が豊富に用意されています。サンクチュアリでは最も裕福な地域ですら存続には困難がつきまといます。このような特徴を掘り下げることで世界観の深みが増します。それは、空間を視覚的に詳細に作り込むきっかけとなり、中核に据えられるべきアイデンティティの感覚を与えてくれます。また、「ディアブロ IV」では自分が本当にそこにいるかのように感じられる場所が多くありますが、そうした感覚を生むためには、天候とラインティングが視覚的に大きな役割を果たします。雨が降れば地面が濡れて轍や蹄の足跡に水が溜まり、地面がぬかるみ、辺りの大気は重く湿気を帯びます。その一方で、炎でぼんやりと照らされた酒場の中に入れば、外の雰囲気とは打って変わって、安全に暖を取れる貴重な空間が広がっています。これからお見せする場所で、遠い過去や最近どういった出来事が起きたのかを感じてもらえればと思います。その場所ならではのビジュアル上の物語を考え、戦闘時に記憶に残る背景を作り込むこと、「これぞまさにディアブロだ」と言えるようになるまでアートの試行錯誤を繰り返すことは、私たちにとってやりがいのある作業です。

プレイヤーを歓迎する、ほのかに照らされた暖かい酒場。

乾燥した地域にある街は視覚的にも乾燥して感じられ、砂塵が舞っていて、暖色の錆びた色合いのカラーパレットを使うことで、サンクチュアリの個性的な地域が作り出される。

「ディアブロ IV」のアートは現代の技術を使って構築されており、物理ベースのライティングが使われています。東の大陸の各地域を手作業で作成する際に、私たちは戦闘や移動、ストーリーの意図、ビジュアルスタイルの方向性などを意識しました。これを実現するために、私たちは「古の支配者」と「闇への回帰」という2つのテーマを柱にして、コンセプトやロケーション、最終的に実装する内容をふるいにかけました。これらのテーマを柱に据えることは、作業の一貫性を保ち、「ディアブロ IV」のビジュアルトーンを維持するために不可欠でした。「古の支配者」のテーマは私たちがアートを選別する上でのレンズとなるもので、レンブラントのような古典絵画の画家が使っていた抑制されたディテールや色調の範囲、カラーパレットの巧みな技法などを参考としています。「闇への回帰」のテーマはダンジョンからライティングまですべてに反映されていて、サンクチュアリは危険でダークな中世ゴシックの世界だというアイデアを体現しています。また、「ディアブロ」ならではの視点にあわせて、ディテールをどこに追加または削除すべきかを取捨選択することで、ゲームプレイで使われるスペースの視認性を高めたり、あるいは必要に応じて注目すべき部分のビジュアルを強調したりしています。こうしたバランスを取ることで、「ディアブロ」シリーズの系譜を前進させる、人の手で作られた特徴的なビジュアルスタイルが実現されます。

遠い昔に忘れられた廃墟の奥深く、宝物と謎がプレイヤーに発見されるのを待っている。

エンバイロメントアートチームが熱心に作成している日々の作業の進み具合を見ていると、大きな刺激を受けます。次は、私たちが「ディアブロ IV」の舞台となる世界を構築する際に常に念頭に置いていたアプローチとコンセプトを上手く表現している6つのロケーションについて、マット、チャズ、ベン、ブライアンが詳しく語ります。

トップに戻る


サンクチュアリの世界

マット・マクデイド:「ディアブロ IV」のオープンワールドについてお話しします!本作では5つの魅力的なゾーンを探索することが可能です。各地域にはそれぞれに独自の脅威が存在します。複数のルートが存在し、隠された部屋もあります。この広大な世界をどのように探索するのかは皆さんの選択次第です。アートチームとデザインチームがシームレスな世界を作り上げていて、世界の端から端まで、または氷河の頂まで渡り歩くことが可能です。エンバイロメントアートチームとして、私たちは手作業でそれぞれのロケーションを特徴的で没入感があるものに作り上げたいと考えています。クリスが先ほど言及していた「ディアブロ IV」のレンズで見ながら、エンバイロメントアート、インタラクティブ、ライティングの各チームは「闇への回帰」の柱を体現するトーンの実現を目指しています。

スコスグレンの海岸

マット・マクデイド:スコスグレンの海岸では、エンバイロメントアートチームは「人の手が入っていない、自然のままの海岸や岬」という物語を伝えようと考えました。内陸から海岸へと移動すると、強烈な潮風の影響で背の高い草が一定の方向にそよいでいる、海岸特有の生態系に気付くでしょう。砂浜は荒涼としていて、海藻や腐乱した死骸が散乱しています。切り立った崖が高くそびえ、岬の下の方は繰り返し寄せてくる波によって浸食されています。生態系を作成する過程で、エンバイロメントアートチームは、この海岸線は危険に満ちていることを伝えようと考えました。

海岸沿いの主要な植民地は、海辺という文脈のなかにしっかりと編み込まれていると感じられることが重要です。崖の上には基礎がしっかりとした住居が並んでいます。過酷な環境になんとか耐えられるようにと、これらの建造物は周辺の手に入れられるものを使って建てられており、あちこちが破損しています。石壁、再利用された木、わらぶきの屋根。危険な海で漁を行う勇敢な漁師たちの癒しの場所です。

漁業は疲れ果てた地域の人々の日々の生活に重要な役割を果たしています。私たちはその考えを念頭に置いて、これらの村は漁業を中心にしているという点を強調しました。私たちは簡素な波止場や船台などの補足的なアセットを追加し、インタラクティブチームが一帯にカルチャーキットのレイヤーを配置する舞台を整えました。

チャズ・ヘッド:ここにあるプロップの大半は動的です。波間に船が揺れ、市場では魚屋が網を吊って乾かしています。ここでの主な狙いは重層な建造物や地形のアセットに命を吹き込むことです。プロップとカルチャーキットは「ディアブロ」が表現するリアルな世界を感じさせるために役立ちます。

ここにある溺れし者たち(Drowned)のカルチャーキットはすべてプレイヤーのインタラクションが可能で破壊できます。こうしたプロップを配置するにあたって、私たちは破壊要素の限界に挑戦しました。特定の配置物同士を、互いを制御するコンストレイントシステムを用いてつなぎ合わせています。これによって破壊の見た目は特徴的でリアリスティックかつ多彩なものになりました。

また私たちはこの地で起きた出来事の物語を伝えるために、最善を尽くしました。溺れし者たちは海底から引き揚げたものを所持しており、サンクチュアリの砂浜を襲撃した際に彼らが持ち帰った過ぎし日の文明の宝があちこちに見られます。

ベン・ハッチングス:「ディアブロ IV」のオープンワールドを探索していると、ライティングと天候に様々なバリエーションが用意されていることに気付くでしょう。このスコスグレンの海岸では、高地や荒れた土地をベースにした霧に覆われた寒々しい光景が広がっています。本作全体を通して、現実に即したナチュラルなパレットを使うように心がけたことで、私たちはサンクチュアリの世界にふさわしい、無骨な雰囲気を演出するビジュアル空間を作り出すことができました。

オーベイ修道院

マット・マクデイド:オーベイ修道院は乾きの平原の田舎にぽつんと存在する隠された建物です。この土地ではザカラムの存在感は薄まっていますが、オーベイ修道院は、ザカラムを崇拝する複数の施設が今も密かに機能していることを示しています。ここは乾きの平原であることから、私たちは草木がまばらにしか存在しない埃っぽい草原を表現しようと考えました。明るい茶色の色褪せた草を補うように、意図的に暗い岩を追加しています。地面から突き出たポプラやザクソールの木が、画面上で遠近感を示す視差の表現に大いに役立っています。後景にあるものよりも前景にあるものが速く動くことから、より大きな奥行きを感じられます。

この地域に興味深いビジュアルを追加するために、エンバイロメントアートチームは塩の平原の生態系を作り出しました。青いアルカリ性の湖にはあちこちに塩の凝固した堆積物が存在し、色鮮やかな地熱による温水の水たまりなど、乾きの平原に活気のある場所が追加されることで、魅力的な天然のランドマークが作り出されています。

ザカラムの崇拝者たちの活動にもかかわらず、オーベイ修道院はサンクチュアリの多くの建物と同じように荒廃しています。この場所はかつてはザカラムの僧侶たちの活気あふれる学習拠点だったものの、今は廃墟になりつつある初期段階にあることをビジュアルで伝えることが私たちの目標です。乾きの平原の地域にあるほかの建造物と比べると、ザカラムの建築物は特徴的で洗練されています。彼らの建物には装飾が施されており、多くの場合は凝った彫像も設置されています。チャズがザカラムの建物内で見つかる興味深い秘宝について詳しく話してくれます。

チャズ・ヘッド:ザカラムの信者の多くはオーベイ修道院に巡礼に訪れます。道端の隊商がこのアイデアを補強しています。この荷馬車を爆発させるのがいつだって楽しいんです!

見ての通り、今ではその巡礼も困難になっています。ザカラムの倉庫や往時を思わせる物品のほとんどは破壊されています。打ち棄てられた修道院の廃墟のなかを丹念に調べていれば、まだ宝物が見つかるかもしれません。

修道院を出て地熱地帯に向かえば、プレイヤーはそこにいる住人たちに遭遇します。よく見てみると、崖に沿って彼らの住居が見つかるでしょう。

キョヴォシャッド

マット・マクデイド:キョヴォシャッド(Kyovashad)では、この中世の植民地が荒涼として過酷な環境であるということをしっかり伝えることが目標です。ただし、この地に住む人たちに与えられた避難場所であることを伝える必要もありました。軍の植民地であるこの場所では、最初から厳重に守りが固められていることを見せる必要がありました。植民地に近づくと、小さな防衛施設が徐々に増えていくようにするのが良いと考えました。そうすることで、その先に何か重要なものが控えているという印象を与えられます。門に到着すると、歓迎されざる客を退けるための切り立った石、周囲を覆う壁、深く穿たれた堀が現れます。

街の中に入ると、フラクチャード・ピークス(Fractured Peaks)の特徴的な建築が見られます。ここにある建物には地域内に存在する森から採れる複数の木材が使われており、天然の松材の板や樺の木の屋根板で覆われています。サンクチュアリの多くの住居と同じように、建物は形式よりも機能性が重視されています。

動画ではキョヴォシャッドの南端の大部分の地域を見ることができますが、とても簡素なシェルターが建っています。なかには街の壁に貼りつく形で、眼下に流れる氷河を見下ろしているシェルターもあります。プレイヤーがこのエリアにやってきたときには、密集した居住区があちこちに存在する、スラム街の野営地のような印象を持ってもらいたいと思っています。インタラクティブチームは文化に注目して、その部分を上手く表現してくれました。

チャズ・ヘッド:キョヴォシャッドには複数の区画が存在し、それぞれに独自のカルチャーキットが使われています。ここには虐げられた者たちが過酷な環境から身を守るために避難してきたスラムが存在します。このアイデアを補強するために、私たちは擦り切れた布や壊れた避難所などの不幸を感じさせるディテールのレイヤーを追加しました。驚かれると思いますが、これでもサンクチュアリでは上流階級の暮らしです。

ベン・ハッチングス:この夜のキョヴォシャッドでは、霧やぼんやりした影、反射光によってライティングがソフトな印象を与えています。このソフトさが「ディアブロ IV」のライティングの核となっており、これによって自然で現実に即した印象が実現します。

フラクチャード・ピークスの冷たく荒涼としたパレットとは対照的に、キョヴォシャッドには暖かく、自然な色調の人々が密集して暮らしている生活感がある雰囲気を与えたいと考えています。

サンクチュアリのダンジョン

ブライアン・フレッチャー:ダンジョンが「ディアブロ」シリーズでお馴染みのランダム生成されたコンテンツであることに変わりはありません。ただし、サンクチュアリ全体にこれまで以上に多くのダンジョンを存在させられるように、エキサイティングな新機能が追加されています。150個以上のダンジョンを実現するため、環境アートを作成する方法を変更して、アートが1つのダンジョンだけでなく、複数のロケーションで使えるように自由度を高めました。私たちはあらゆるものを「タイルセット」に分解しました。こちらにタイルセットのサンプルと、それらをプロップやインタラクティブ、ラインティングと組み合わせて、多彩で手作りでありながらもプロシージャルに生成されるダンジョンを作り出す方法をご紹介します。ダンジョンを作成するには複数のチームによる多大な作業が必要になりますこれまで開発してきたものを皆さんにお見せできることを誇りに思います。

世界の忘れられた場所

ブライアン・フレッチャー:このタイルセットは私たちが「闇への回帰」を実現したサンプルです。サンクチュアリの地下の闇の奥深く、謎めいて薄気味悪い邪悪が根を下ろす場所に皆さんをご案内しましょう。この古の神殿は原始の恐怖の雰囲気を表現するのにうってつけです。固定カメラは最高のツールのひとつで、これによってプレイ可能なスペースを妨げないような形で前景にアセットを配置できるようになります。プレイヤーの目にしている画角をいつでも把握できるため、レイアウトや通り道、前景のアセットが良い構図になるように調整してカスタマイズできます。蜘蛛の足は、後景に不安をかき立てるうごめくシルエットが見える位置に配置しています。ダンジョンデザインの担当者が素晴らしいレイアウトを提供してくれたおかげで、各シーンの深みをさらに増すことができました。ダンジョンは無限に続いており、プレイヤーは地下の広大な迷宮のほんの一部を見ているに過ぎないという印象を与えることが狙いです。

チャド・ヘッド:プロップ&インタラクティブチームはブライアンが説明した謎と不安感に満ちた舞台設定を維持することを狙っています。このカルチャーキットでは、不安な印象を与えながらも、先に向かって進むことにメリットがあると感じさせたいと思っていました。ここにあるものは、サンクチュアリの地上に住む人たちによって造られたものだという印象を与えてはいけません。私たちは「巨大な」と「捻じれた」という、スタイルの異なる、形象を表す2つの言葉を念頭に置きました。とにかく、ここは独りで探索したい場所ではありませんね!

ベン・ハッチングス:ここには「ディアブロ IV」の柱となるテーマ「闇への回帰」がよく現れています。私たちの狙いは、魅力的でグロテスクな形態を出現させながら、さりげなくダンジョンの内部へとプレイヤーを導くことです。このようなダンジョンでは、プレイヤーの行動するスペースのシルエットを描き出すことに注意が払われ、スケール感と奥行きを感じさせるようにしています。これによって移動が楽になるとともに視認性が向上し、背景の広大さも感じさせられます。

不気味な洞窟

ブライアン・フレッチャー:「ディアブロ IV」の世界は広大で、無数のユニークなタイルセットを活用して様々なゾーンや生態系、文化が表現されています。高品質なコンテンツを大量に作成するために、私たちはタイルセットを再利用する堅実な方法を見つけて、150以上のダンジョンにバラエティを持たせました。一方で、それぞれのダンジョンでプレイヤーの体験は新鮮なものでなければなりません。そのためのひとつの方法が、タイルセットに複数のテーマを着せ替えることでした。次のダンジョンは悪魔に荒らされたドルイドの隠された休息場所です。ダンジョンのなかを進んでいくと、タリスマンやチャームなど、多くのドルイドの文化を示すアイテムがダンジョンのそこかしこに見られます。こうした大量のアイテムは、ダンジョンのテーマに応じてオンオフを切り替え可能なレイヤーに配置されています。ダンジョンはドルイドの埋葬地の場合もあれば、生物のいない暗い洞窟もあります。このようなディテールは、ビジュアル上の魅力を増し、視覚的に物語を伝える上でうってつけです。そのアセットは複数のチームが開発しています――複数のグループが共同で最終的な環境に貢献している好例と言えるでしょう。

チャズ・ヘッド:このダンジョンではドルイドのカルチャーキットを充実させることができました。「ディアブロ」シリーズにおけるドルイドの復活は様々な意味で歓迎されるでしょうが、プロップ&インタラクティブチームにとっても同じであり、彼らはこの謎めいた人々に完全なキットを作り出すことで、このクラスの特徴を発展させました。ドルイドを表す物品を空想的なものにするのは簡単ですが、私たちはこのように過去のドルイドの魅力は維持しながら、カルチャーキットを現実に即したものにする面白い方法を編み出しました。皆さんが本作をプレイする際には、ダークで力強いドルイドの世界観に反しない形で彼らの魔力を表現できていればいいと願っています。

水没した深層

ブライアン・フレッチャー:新たなダンジョンはシームレスに階層を移行可能で、移動が楽しいものになっていますが、私のお気に入りはタイルセット移行シーンと呼んでいる新機能です。同じダンジョン内の2つの異なるタイルセットをつなぐシーンが存在します。地下の迷路を走っていて、壁に開いた穴を見つけ、それがシームレスにさらに深い、四方八方に広がる洞窟につながっていると考えてみてください。その際には、ダンジョンに入るごとに変化するランダム生成されるレイアウトは維持されなくてはなりません。この最後の動画では、タイルセット移行シーンでつなげられた2つの異なるタイルセットを見ることができます。廃墟と化した上層の最初の階層は乾燥していてほとんど破壊されていませんが、地下に潜るにつれて、下の階層ほど無限に湧き上がる洪水によって腐敗が進んでいます。この水没した廃墟は溺れし者が入り込む場所にぴったりで、彼らは地下深くで守りを固めています。その防御を突破して先に進み、ロープをつたって降りると、さらに深い水没した廃墟のタイルセットに移行します。

チャズ・ヘッド:私はこのダンジョンが好きです。「ディアブロ IV」のプロップ&インタラクティブで初期にスタイルが決定したダンジョンでした。槍や鎧、鉄製のシャンデリアなど、ファンに人気の特徴的な中世ゴシックのスタイルを使っています。このセットで「ディアブロ」の何たるかを思い出してもらえればと思います。探検を進めることの危険性がビジョンの一部となっており、地下に進むほど、激しさを増していきます。地下に向かって進むと、一見場違いな障害物が現れます。溺れし者たちがこの古代の邸宅に侵入しており、彼らの不気味な捕獲物が床に散乱しています。これはキットを組み合わせる機会となりました。カビに覆われたアセットが気色悪さを演出できていればと思います。見慣れた物でありながら溺れし者の大群の濡れた手によって穢されている感じを狙っています。

ベン・ハッチングス:2つの特徴的なビジュアルスタイルを統合させるのは楽しい作業でした。ここでは、上層のダークで不吉な廊下が、下層の腐敗した水に濡れた色調へとつながっています。

ライティングへのアプローチはどちらも同じですが、その実行方法が違っています。上層部はとても暗く、非常に限定的なライティングが使われており、柔らかい光で微かに通行できる廊下が示唆されています。対照的に、水没した下層は腐敗した緑と黄色の色調が使われており、じめじめとして重苦しいダンジョンの雰囲気が伝わってきます。

以上が「ディアブロ IV」の環境アートへのアプローチの簡単な解説です。私たちは「ディアブロ」らしさを演出する視覚上のヒントをさりげなく提示しながら、アクションの舞台を生み出す作業を楽しんでいます。チームメンバーの素晴らしい仕事ぶりや「ディアブロ IV」の開発の進捗状況について語れる機会は多くはありません。お読みいただきありがとうございました。お楽しみいただけたなら幸いです。

次の四半期アップデートのブログにも注目していてください!

- 「ディアブロ IV」チーム

トップに戻る