オーバーウォッチ2

「オーバーウォッチ」優先パス:内容と導入の背景、使い方について

Blizzard Entertainment

プリンシパル・ゲームデザイナーのスコット・マーサーはこう言います。「結局のところ、どうすれば『オーバーウォッチ』で遊んでくれる皆さんにもっと楽しんでもらえるか。私たちが目指すところは、この一言に尽きます」。マーサーがこれから語るのは、開発チームがそのために考えた新しいアイデアについてです。最新の開発アップデート動画でジェフ・カプランも触れているので併せてご覧ください。現在PTRでテストされている「優先パス」と呼ばれるこの機能により、タンク、サポート、ダメージのロール間で生じているプレイヤー人口の偏りが均一化することをマーサーは期待しています。

優先パスの導入が目指しているのは、ダメージの待ち時間の長さの解消です。そこでチームが考えたのは、その都度需要のあるロールに割り当てられる「フレックス」というオプションを用意し、フレックスで参加したプレイヤーに特別なパスを交付するというものです。このパスを使えば、自分の好きなロールで遊びたい時の待ち時間を短縮できます。PTRで試す前に、まずはこのパスがどういうものか、どういう経緯で導入されたものなのか、マーサーの説明をお読みください。


優先パスとは何ですか?

「オーバーウォッチ」では、タンク、サポート、ダメージのいずれかを選択してゲームに参加します。クイック・プレイとライバル・プレイはどちらもロールキュー制を採用しており、タンク、サポート、ダメージがそれぞれ2人ずつ揃わないとマッチが成立しません。ロールごとの待ち時間を均一にするには、各ロールを選択するプレイヤーの数が同程度にならなければいけません。そんな中で現状は、ダメージで遊びたいというプレイヤーがものすごく多くなっています。

つまり人気がある分だけ、ダメージプレイヤーの待ち時間も突出して長くなっているわけです。この問題には私たちも頭を悩ませていて、優先パスが一つの解決方法になるのではと考えています。優先パスがほしい方には、「フレックス」でゲームに参加してもらいます。タンクでも、サポートでも、もちろんダメージの可能性もありますが、とにかくどのロールでも構わないよ、という形で参してもらい、その対価として優先パスを獲得できます。その後で、自分が遊びたいロールの待ち時間が長かったら、このパスを使って待ち時間を短縮できるという仕組みです。一番効果が実感しやすいのは、やはりダメージを選択したときでしょう。より多くの方がフレックスを選んでくれれば、各ロールのプレイヤー数も均等に近づきます。それにより、皆さんにご不便をかけている待機時間の不均衡がいくらか解消するのではと見込んでいます。

獲得できる優先パスの数は、マッチの勝敗によって変動します。たくさんお渡ししようとは思っていますが、数については様子を見ながら調整するかもしれません。フレックスでマッチを1回プレイすれば、何回かのマッチで優先的にダメージ(あるいは任意のロール)をプレイできます。パスは最大40枚まで貯められます。

 

チームで一緒に遊ぶ場合は、どうやって優先パスを使えばいいですか?

同じグループの全員が優先パスを持っていると見なされるには、待ち時間の長いロール(通常はダメージ)を選択しているプレイヤーがパスを消費することになります。例えば、あなたと私で一緒に遊んでいたとして、あなたがタンクかサポート、私がダメージを選んだ場合は、私だけがパスを使うことになります。そうすれば2人で優先的に待機できる仕組みです。

 

ダメージの待ち時間が長いのはどうしてだと思いますか?

ダメージが人気となっている理由の一つとして、まずダメージヒーローの数がタンクやサポートよりも多いということが挙げられます。ここ何年かに渡って、タンクやサポートのヒーローを多めに投入してきたのはこのためです。タンクやサポートをもっと面白くすればいい、もっと強くしてほしい、というご指摘もいただきますが、正直に言って現状でも十分強力ですし、プレイする面白みもダメージに負けていません。純粋な好みの差によってそのように受け取られているのだと思います。

「オーバーウォッチ」はFPS(一人称視点のシューティングゲーム)なので、ヒットスキャンのキャラクターで遊びたい方が多くなるのは自然なことです。ここはゲームの醍醐味にも関わる要素なので、強さや個々のメカニズムをどれだけ調整しても変わらない部分です。優先パスは一つの方策にすぎず、これで待ち時間の不均衡がすべて解消されるとは思っていません。ですが、フレックスで参加するかどうか、そしていつそうするのかを自分で決められるようになるので、これまで以上にプレイヤーの選択肢が増えます。

 

ロールごとの待ち時間の差を解消しようとする取り組みは以前からありましたが、過去のものと比べて優先パスはどういった点で異なりますか?

調整やマッチメイキング、チーム編成といった部分で細々と対策を打ってきましたが、言ってみればこれらは応急処置のようなものでした。そもそもの問題は、3つのロールのプレイヤー人口が大きく偏っていることです。これは小手先の手段ではどうにもならないため、それだったらマッチの待機人数だけでも均等に近づけようというのが優先パスの発想です。

優先パスを使えるようになったら、パスがある場合とない場合の待ち時間を表示し、違いがわかるようにします。たまにはフレックスでもいいかなと皆さんに思ってもらえるよう、できるだけたくさんの情報を提供する予定です。

 

こういった機能の場合、PTRに出す前にどのようなテストを行っているのでしょうか?

データ分析と計算の繰り返しですね。マッチメイキングの問題はずいぶん長いこと取り組んでいるので、プレイヤー数やスキルレベル、そしてプレイヤーのロール選択をエミュレート可能なマッチメイキングシステムを構築しています。プログラマーやデータ分析の専門家を交えて、改善に改善を重ねています。こうしたシステムはライブサーバーに出してみないとわからない部分もありますが、できる限り先回りして、必要な調整を行うようにしています。マッチメイキングに終わりはありません。常に道半ば、どこかしら直すところがあります。加えて、私たちはプレイヤーがゲームで遊べればそれでいいとは思っていません。プレイヤーの皆さんに素晴らしいゲームで遊んでほしい――それこそが私たちの目指すところです。できれば実力が近い者同士で対戦してほしいと思っています。対戦ゲームとは元来そういうものですから。その方がゲームとして楽しいですし、それこそが「オーバーウォッチ」のマッチメイキングの目標です。

 

優先パスをPTRに実装したら、注視する部分や、ここを変えようと考えている点はありますか?

明らかな不具合はなくすつもりです。それと、最低限プレイヤーがゲームで遊べることを確かめておきたいですね。あとは、システムがゲームをクラッシュさせないよう注意します。実際のロール選択がどうなるかも知りたいですが、そこまではわからないでしょうね。PTRでプレイする方は、全体のプレイ人口に比べたらごくわずかですので。

調整してどれくらい効果があるのかという点については、確かなことはわかりません。ですが、だからこそこうして実装後の予定や、どういった対応をとるのか、どういう部分に注目するのかといったことをお話しし、必要なデータを集めようとしているわけです。もちろん、皆さんからいただくフィードバックにも期待しています。これなしでは始まりません。数字上のデータだけでなく、プレイヤーの皆さんに気に入ってもらえてるのか、ちゃんと利用されているのか、そして満足してもらえているのか、皆さんの目から見てどうなのかといった部分も見ていきたいですね。


優先パスは本日からPTRに登場!