オーバーウォッチ2

6本の尻尾と大量のツール:D.Va「九尾狐」制作の舞台裏

Blizzard Entertainment

D.Vaの「九尾狐」制作に携わった「オーバーウォッチ」チームに所属するテクニカルアーティストの一人、アルバート・ヴァイタルは、「スキンをきちんと機能させるために、新たなツールをいくつか開発しなくてはならなかったんです」と語ります。苦労の甲斐あって、コンセプトアート担当のデイビッド・カンが描いた、野性味あふれる変身途中の妖狐は、アートチームの力によって3Dで見事に再現されました。メックなしの状態では、尻尾を生やして走り回る姿を見ることもできます。

ですが、ハロウィン・テラーのスターは、なにも「九尾狐」のD.Vaのパイロット姿だけではありません。乗っているメックも寺院風にデザインされていて、フュージョン・キャノンの燃え尽きそうなロウソク、ブースターの石灯籠に加えて、布切れをはためかせながら次の獲物を探し回る姿はどこか不吉です。

ヴァイタルとカンの両名に、D.Va史上最高に攻めているスキンの制作について聞きました。


この業界に入ったきっかけと、日々の仕事について教えて下さい。

アルバート・ヴァイタル:きっかけは2年制の短期大学でCGアニメーションを学んだことでした。アートのこともコンピューターのことも知らなかったので、大学で一から学ばせてもらいました。今は主にスキン作成とキャラクターシミュレーションを担当しています。素晴らしいキャラクターモデルを基に、それをどうやって魅力的に動かすのかを考えるのが仕事です。

デイビット・カン:子供の頃からディズニー/ピクサーか、Blizzardで働くのが憧れでした。ディズニー映画が大好きでしたし、初めてプレイしたPCゲームは「StarCraft」でした。仕事は、スキンのデザイン案を考えたり、スケッチを作成したりすることです。いいスケッチを仕上げて、コンセプトアートの外注も担当しています。

スキンごとに作風を変えますか?

ヴァイタル:スキンとアニメーション次第ですね。キャラクターの性格や、既存のアニメーションとスキンの相性を考えないといけません。

カン:スキンごとにアプローチは変わります。自分は既存のスキンと比べて、どこが違うのかを分析するようにしています。それから、ゲームプレイに支障が出ない範囲で、できるだけスキンのテーマを前面に押し出せるよう意識しています。

今回のスキン制作にあたって、どんな作業を担当しましたか? スキン制作のプロセスについて、着手してから次のアーティストに渡すまでの工程を教えてください。

カン:プレゼン用のラフスケッチを担当しました。各スキンのスケッチが通ったら、D.Vaとメック両方の正面図と背面図をデザインして描いて、スケッチを仕上げていきます。D.Vaのそれぞれの武器についても、同じ手順を繰り返します。デザインが完成したら、チームの3Dアーティストに渡してモデリングをしてもらいます。

ヴァイタル:今回のスキンには、テクニカルアーティストとして携わっています。最初にキャラクターを見て、スキンとして成り立たせるために何が必要か聞かされた時、かなり手間の要する作業になるだろうなと思いました。そこでコンセプトアート、モデリング、アニメーション、ツールの各チームと相談し、作業基準を定めてそれぞれの目標達成のために動き始めました。