ディアブロ IV

「ディアブロ IV」のシステムデザイン(パート1)

David Kim

これは長年の経験から得た実感ですが、ゲームのデザインを考えたり、内容に磨きをかけるに当たって、プレイヤーコミュニティはものすごく貴重なリソースとなります。私たちが力を合わせれば、必ずや素晴らしい作品が出来上がるでしょう。ただ、これだけ大勢の人間が集まると 、全員の意見が一致するということも滅多にありません。その中でどういった決断を下すのかは、常に悩ましい問題となります。「ディアブロ IV」の開発はまだまだ試行錯誤の段階ですが、デザインや手直しの作業を進めながら、皆さんに最新情報をお届けしていきたいと思っています。そうすることで、この作品を皆さんと一緒に作り上げていくことができれば幸いです。本当にありがたい ことに、本作について早くもたくさんのフィードバックをいただいています。今日はその中でも話題のトピックについてお話ししましょう。

アイテム体系

アイテム体系に関していただいたフィードバックは、今も目を通しているところです。開発チーム内で積極的に話し合っていることとしては、まずベースのアイテム(レアを含めて)にどうやって奥行きや深みをもたせるのか、それから、アイテムの特性にどういったバリエーションを増やせば、その効果の面白みが増しプレイヤーの選択に意味を持たせられるかといった点です。それに加えて、アイテムのカスタマイズについても、どういった形で自由度を上げれば、単にネットで「最強ビルド」と検索して終わりではなく、その時々のゲームプレイに合わせて可能性を探る楽しみを味わえるか、といった点について話し合っています。

アイテム体系に関する詳しいことは、近日中にまた別の記事でお伝えします。今日はひとまずこれくらいにしておいて、ここからは他のトピックも見ていきましょう。

今回取り上げた内容はよく話題になっているものの中から選んだつもりですが、もし何か抜けていることがあれば遠慮なくご指摘ください。できる限り今後のアップデートで取り上げたいと思います。


スキルは自由選択

BlizzConのデモに映っていたユーザーインターフェイスのせいか、「ディアブロ IV」のスキルは特定のスロットに固定する方式だと思われているようですが、それは誤解です。スキルに限ったことではありませんが、デモに映っていたUIはあくまでも開発中の画面であり、実際は自由選択方式で開発を進めています。スキルの選択や割り当ては常に自由に調整ができるようになる予定です。


エンシェント・アイテム

このトピックに関してはコミュニティの意見にまったく同意します。「ディアブロ IV」のエンシェントは、今のところ明確な役割を果たせていません。「ディアブロ IV」のエンシェント・アイテムがゲーム内でどういった役割を果たすのか、こちらでももう少しうまく説明をすべきでした。大まかな方向性は示せたのではないかと思いますが、皆さんからは鋭いご指摘を念頭に置きつつ、あらためてデザインを見直しています。アイテムの種別のアップデートでまた詳しくお伝えできればと思うので、続報をお待ちください。


エンドゲームの成長システム

キャラクターのレベルや経験値のシステムについては、上限を設けるべきかどうかを決めかねています。そのメリットとデメリットについては検討を尽くしてきましたが、皆さんの考えもお聞きしたいと思っています。キャラクターが無制限に成長すれば、他の要素から得られる力が最終的には霞んでしまうのではないかという意見もあります。ただ、上限があろうとなかろうと、それぞれのシステムからどの程度の力が得られるかは、こちらである程度コントロールすることができます。

たとえば、プレイ時間が数千時間に及ぶと仮定しましょう。その気になれば、その数千時間でとてつもない力を得られるレベル上限ありの成長システム(通常の上限なしの成長システムの100万倍強いようなシステム)を作ることだって不可能ではありません。そうなれば、いくら上限なしの通常の成長システムであっても、その強さに追いつくことは難しいでしょう。

また、キャラクターの成長はそれぞれの階層で、一律かつ直線的である必要はありません。プレイヤーのレベルが上がるに従って、そのペースが落ちるという設計もあり得ます。それよりも大事なのは、プレイヤーが一番楽しめるのはどのような体験なのか、という点です。テストプレイでさまざまなアプローチを試しつつ調整をしていけば、最も理にかなった成長曲線を探ることができる と考えています。

レベルキャップに加えて、別の経験値システムを用意するのには理由があります。レベルキャップを設ければプレイヤーには一定の達成感を味わってもらうことができます。ですが、中にはより深くゲームを楽しみたいという方もいるわけです。第2の経験値システムによって、そうしたプレイヤーも高難易度のエンドゲームやランクに挑戦する楽しみを味わうことができるのです。またこの段階になると、プレイヤーもゲームを熟知した上でプレイをすることになるので、こうした多重的なシステムによってゲームにさらなる深みが生まれることにもなります。各々のエンドゲームのプレイスタイルに応じて明快な選択肢が存在するシステムを作ることが、私たちの究極の目標です。


パワーソース

パワーソースに関しては、コミュニティからもいろいろと鋭い指摘をいただきました。各ソースからどれだけのパワーを得られるのかについては、いま改めて評価を行っているところです。

とはいえ、あらかじめここではっきりとお伝えしておきたいことがあります。「ディアブロ IV」では、パワーの大部分がアイテムに依存するということはありません。私たちはさまざまなパワーソースがバランスよく組み合わさった状態を目指して開発を進めています。キャラクターはレベルが上がるに従って自然と強くなっていき、スキルはランクに応じて効果が増し、タレントはプレイスタイルに合わせて選択可能で付加効果を生み、その上で装備するアイテムもプレイヤーに力を授け、意味のある選択肢が無数に用意されている、というが理想です。

他にお伝えしておきたい点として、レジェンダリー・パワーはアイテムの効果の一部に過ぎず、レジェンダリーが強すぎて他の特性が全く意味を成さなくなるということもありません。たとえば、通常の特性が2つか3つあれば、ほとんどのアイテムのレジェンダリー・パワーとほぼ同等の水準となるでしょう。


Keyed Dungeons

「Keyed Dungeon」はリフトとどう違うのかという質問がありましたが、これは重要なポイントです。「Keyed Dungeon」ではダンジョンの特性を通して階層が上がるにつれて、待ち受ける試練も同様に手強くなっていきます。大部分のダンジョンは実在の場所をモチーフにしていて、プレイヤーはどのようなタイプのモンスター、イベント、レイアウトが待ち受けているかという情報を部分的に知ることができるでしょう。これらの情報と、鍵に表示される具体的なダンジョンの特性をもとに、ダンジョンに入る前からどういったアプローチでいくのか事前に作戦を練ることができるのです。この点が「ディアブロ III」のリフトとの最大の違いです。「Keyed Dungeon」の攻略にあたっては、事前に計画と戦略を練り上げることが重要となります。


皆さんのご意見も引き続きお待ちしております。皆さんと共に「ディアブロ IV」のゲームデザインを作り上げていきたいと考えています。これは私個人の考えですが、確固たるデザインのアイデアに基づいて最善の判断を下すことこそが重要で、そのアイデアがどこから出てきたものか、ということは大きな問題ではありません。皆で建設的な議論を交わして、コミュニティが最も関心を寄せているテーマに取り組んでいくのが、私の一番の願いです。ですのでこれからも遠慮なくフィードバックをお送りください!

それではまた、地獄でお会いしましょう。

デヴィッド・キム

リード・システム・デザイナー

「ディアブロ IV」開発チーム